慣用句「敷居が高い」の本来の意味。「高級」「高嶺の花」という誤用が多く使われるわけ。

 

 

スポンサーリンク

「敷居が高い」は気後れにあらず。

 

「敷居が高い」はよく見聞きする表現ですが、

半数以上が勘違いしているほど誤用の多い表現です。

このような会話をしたこと、されたこと、

また、耳にした事はありませんか?

「あのお店は高級な雰囲気だから、敷居が高いよね」。

「敷居が高い」という言葉を、

「自分には高級すぎる」、「自分には不相応」

という意味で使っている人が多く見られます。

「敷居が高い」の本来の意味とは、不義理などにより行きにくいこと。

国語辞書(『日本国語大辞典 第二版』小学館)は

「敷居が高い」を次のように記しています。

「相手に不義理をしたり、また、面目のないことがあったりするために、

その人の家に行きにくくなる。また、その人に会いにくくなる状態をいう語。」

このように正しくは、

「不義理をしてしまって行きにくくなっている状態」を指します。

酔って失礼をしてしまった、

あるいはひどい言動をとってしまったことなどによる、

出入り禁止のような状態を想像するといいでしょうか。

間違って使われる場合も多く、正しい使い方を知っている人が聞くと、

「この人は何をしたんだろう?」と思ってしまいます。

 

 「敷居が高い」の意味を理解できていない人は約半数。

「敷居が高い」とは「不義理や面目のないなどの理由で、

相手の家へ行きにくい」という意味があります。

「伯母には数年会っていないので、

敷居が高くて伯母の家には今更足が向かない」

のような使い方をします。読み方は「しきいがたかい」です。

「敷居が高い」の「敷居」とは、家の外と内を区切るために敷く木材のこと。

敷島住宅様より

 

家の門や玄関、部屋の境などに敷かれています。

主に障子や襖などをはめ込むための下部に取り付けられた部分を言いますが、

慣用句としての「敷居」とは、上がり框や玄関框も含まれます。

DENHOME様より

 

家に入る際には、「敷居」をまたがなければなりません。

不義理をしてしまい相手に合わせる顔がなく、

「敷居」をまたぎづらい=「敷居が高い」という表現が使われるようになりました。

「敷居が高い」は本来、不義理や面目ないという理由で、

相手の家の敷居がとても高く見えて家に行きづらい心境を表現していますが

令和元年の文化庁による調査「国語に関する世論調査」によると、

「高級すぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい」という

間違った解釈をしている人が56.4%もいました。

国語に関する世論調査より

 

若い世代に誤用が多い結果となっていますが、

その若い世代に、言葉の意味を教える世代が誤用をしてしまっていては

若い世代の誤用は広まるばかり。

また、Googleで「敷居が高い」を検索すると

このように、「女性」という検索候補が出てきます。

試しに見てみると、このように使われるそうです。

「彼女(彼)は自分には敷居が高すぎて。」

かく言うわたしも言われたことがあります。

 

同僚

ねぇやんさんってさー、
結構敷居の高い人だよね。

ねぇやん

なんじゃそら。

 

こういう意味だったんですねー。

実際のわたしは「敷居の高い」人ではありませんし、

誤用的にも当てはまらない人です。

繰り返し言いますが、これは誉め言葉ではありません。

こう言われたら、どう返すか。

国語辞典でも差し上げたい気持ちになります。

 

 

スポンサーリンク

敷居が高いが不義理のためなら、高級で気後れするのは何という?

 

「敷居が高い」はこのようにも言い換えることができます。

・門を塞ぐ

「門を塞ぐ(かどをふさぐ)」は「敷居が高い」とほぼ同義の

「不義理をしているため、相手の家へ行くのが恥ずかしくなる」という意味で使われます。

「自ら敷居を高くする」という表現は、そのまま「自ら門を塞ぐ」と言い換えることができます。

・委縮する

「委縮(いしゅく)する」には「元気がなくなる」という意味が含まれています。

「敷居が高い」の持つ「気後れする」「申し訳ない」という心情と通じる部分があるでしょう。

「長い間連絡を取っていないので、敷居が高い」は

「委縮してしまう」としても近い意味を表現できます。

・頭が上がらない

「頭が上がらない」は「引け目を感じることで、

対等な関係でいられない気持ち」を表現しています。

「引け目を感じる」という意味において、「敷居が高い」と通じます。

「長い間ご無沙汰しているので、敷居が高い」は、

状況によっては「頭が上がらない」に言い換えられます。

・気後れ

「恥ずかしさや緊張のために、心がひるむこと」を意味する「気後れ」。

「敷居が高い」は、不義理や失態などの理由で

心がひるんでいる状態ともいえるので、類語表現として使えます。

ただし、「気後れ」には、「家に行きづらい」という意味は含まれていません。

では、「自分には高級すぎる」、「自分には不相応」は

どのように言い換えることができるでしょうか。

「ハードルが高い」などが適切だと思いますが、

何も難しく言おうとしなくてもよいのではないかと思います。

自分を大きく見せようとして、失敗するほど恥ずかしいものはありませんから。

 

 

今日のヒメちー

 

最近おうちの「敷居」も高い気がします。

いや、ヒメちー、あなたが乗ってるのは「鴨居」。

危ないからとりあえず降りてきなさい。

すました顔をしているけれど、

この爪の食い込みようよ。

べ、別に怖くなんかないですよ。

…怖くなんか…。

普段匂いをかげない所もかげますしねー。

これはある意味、

ねぇやんのこの「敷居が高い」の記事に合わせて

こんなところに乗ってくれたのかしら…。

でもねーヒメちー、高いのは敷居じゃないからねー。

 

 


コメント