【獅子舞の獅子はライオン?】聖徳太子も見た獅子舞の歴史は遥かシルクロードから

 

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獅子舞に頭を噛まれるとどうなるの?

 

お正月に、見ることのおおい獅子舞。

獅子舞には、疫病を退治したり、

悪魔を追い払ったりする意味があります。

この獅子舞、人々の頭を噛むというしぐさをしますが

これは何のために行われるのでしょう。

獅子舞に頭を噛んでもらう理由は、

その人についた邪気を食べてくれて、

子供の場合は厄除けの効果もあり、

学力向上や無病息災などご利益があると言われているそうです。

獅子舞を見たら、積極的にかんでもらうといいのかもしれません。

ところで獅子舞の獅子ってライオン?

じゃあ獅子舞って最近の習慣なのかしら。

 

 

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浮世絵にも描かれた獅子舞の獅子はライオンか。

 

獣王や王獣などと比喩される動物でもあるライオンは広くアフリカに分布し、

日本には自然発生していない動物です。

当然ですが、最初は海外から持ち込まれました。

日本の動物園で一番最初にライオンを飼育したのは東京の上野動物園で、

明治35年、1902年1月のことでした。

ずいぶんと最近の出来事ですね。

けれど人々はその食物連鎖の頂点にいるライオンに

邪気を払い魔除けの能力を有していると言い、

数多くの神社で「獅子」を祭っています。

三井広報委員会より

 

「獅子」と言えば有名なのは獅子舞。

獅子舞の「獅子」とはその名の通りライオンのこと。

ずっとそう思ってきましたが、実はこの獅子、

想像上の生き物だったのです。

 

 獅子舞は聖徳太子が広めた?

獅子舞の文化は古く、奈良の桜井寺(現在の旧豊浦寺跡)や

日本最初の国立劇場とされる土舞台という場所で子供達に教えられたようです。

当時日本を統治していた聖徳太子が

芸能文化の発展のために行ったとも言われています。

奈良から日本全国に獅子舞が広まったのには、

日本の宗教史における幾つかの大きな出来事が関わっています。

752年に行われた東大寺大仏の開眼供養には

全国から1万人以上の参列者が来たという盛況ぶりだったと伝えられています。

そこで、獅子が登場する仮面劇が大々的に披露されたため、

それを見て感動した人々がまず全国各地に獅子を伝えたと考えられます。

浮世絵に描かれた獅子(喜多川歌麿作)。出典:メトロポリタン美術館

 

ライオンの和名は獅子ですが、

獅子舞の獅子はライオンを元にした伝説上の生き物です。

伝説上とはいえ、両者を比較してみると類似点が見えてきます。

獅子は頭部から毛が生えており、

その毛の模様が眉毛やこめかみ辺りで渦巻いているものもあります。

これはライオンのたてがみと類似していると言えるでしょう。

獅子舞のオカダ様販売ページより

 

また、獅子舞は厄を払うべく険しい表情や鋭い牙を持ち、激しい動作をしますが、

これは百獣の王・ライオンの獰猛さと似ています。

古代文明の発祥とともに、ライオンは王の権威付けとして

実際の動物というよりも、強い霊力を持った霊獣として認識されてきました。

日本に伝わってきた獅子舞のもととなったのは、

諸説ありますがインドで仏教と強く結びついた獅子のようです。

紀元前3世紀にインドのアショカ王が仏教を広めるために建設した石柱があります。

その一部に、王の権威の象徴として、

ライオンをモチーフにした獅子が彫られているのです。

獅子柱頭、サールナート

 

仏教において獅子は、仏の威厳を表すものだったと言えるでしょう。

インドの獅子はシルクロードを経て中国に伝わり、

舞いに取り入れられたと言われています。

紀元前2世紀に、漢の武帝が宮殿でライオンを飼っていたという記録があり、

その後中国の文献で多数獅子舞に関する記述が登場します。

そのことから中国で獅子舞が定着したというのは間違いないでしょう。

産経ニュースより

 

中国の獅子舞は朝鮮半島に伝えられ、それが日本にも伝わりました。

 

 中国の獅子舞が日本で進化

室町時代以降には、今の獅子舞の原形となる芸能が生まれました。

それが伊勢太神楽(いせだいかぐら)です。

毎日新聞より

 

現世に失望した人々が来世の幸福を願い

伊勢神宮を中心としたお伊勢参りを盛んに行いました。

江戸時代には世の中も落ち着き、

現世利益や旅行を目的にお伊勢参りをする人が増加して、

最盛期には年間400万人以上が参拝したという記録も残っています。

お伊勢参りの広まりとともに、獅子舞も広まったのです。

またこれと同時に、神楽師という職業も生まれ、

獅子頭を御神体に神輿を担ぎ全国各地に獅子舞を奉納する人々も現れました。

さらに山伏が獅子舞を権現様と称して各家の土間で披露することもあったようです。

主に江戸時代以降に今の原型である獅子舞が成立して普及したと言えるでしょう。

このように、獅子舞は長い歴史を経て、

仏教や神道とともに日本全国に広まりました。

五穀豊穰の祈祷や悪魔を払い清めるものとして、

今日でも各地の祭礼行列に行なわれています。

元をたどればインドのライオンに行き着くものの、

日本でも長い歴史を経て固有の芸能文化として定着したとも言えます。

写真技術の無い時代。

伝聞や想像だけで、よくもここまでライオンの特徴をとらえたと感心します。

この壮大な歴史があったからこそ、ライオンがいない日本でも獅子舞が普及し、

また、獅子への信仰心が産まれたと言えるでしょう。

この歴史を踏まえて獅子舞を見ることで新しい発見をしたり、

壮大な歴史へのロマンを感じたりできるかもしれません。

 

 

今日のヒメちー

 

あ。とーかしですか?

ありがとうございます。

大変気持ち良いです。

 

あ。そんなとこまでご丁寧に…。

ではお礼に…。

よきものをお見せしましょう。

ぐに~

ぐに~

えっと、ヒメちー、それはいったい何?

え?見てわかりませんか?

獅子舞ならぬ猫舞ですよ。

獅子に負けぬ咆哮もお見せします。

いかがでしたでしょう。

ある意味、獅子舞よりもレアなものかもしれませんよ。

ライオンは、哺乳綱食肉目ネコ科ヒョウ属。

世界のどこかには、「猫舞」で

五穀豊穰の祈祷や悪魔払いをしてたりして…。

 


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