ブラックドッグシンドロームと言う忌々しき誤解。
先日の、黒猫は不吉なのかと言う記事で、
「では黒い犬も不吉と言われるのか?」と言う質問をいただきました。
黒い猫も黒い犬も可愛い。
不吉であるなんて、人の作り出した妄想ですが、
黒い犬は不吉だとされ、アメリカや台湾では嫌われているようです。
これは、ブラックドッグシンドロームと呼ばれ、
過去に、ローマの詩人であったホラティウスが、
黒い犬とその子犬たちを不吉と見る神話を紹介したことが由来とされています。
ブラックドッグ伝説
ブラックドッグ (black dog) は、イギリス全土に伝わる
黒い犬の姿をした不吉な妖精のこと。
猟犬、もしくは子供程の大きさほどもある
燃えるような赤い目に黒い体の大きな犬の姿で、
夜中に古い道や十字路に現れる。
黒い犬という意味の英語表記で、
イギリスで伝承される不幸をもたらす妖精犬の総称で、
黒妖犬とも表記される場合もあります。
現れる前兆として硫黄の臭いが立ち込めるといわれている。
ブラックドッグの方から、人に危害を加える事はありませんが、
目撃した者や話しかけた者、あるいは触れた者を死へと誘うという。
逃げることはほぼ不可能だとされていますが、
神への祈りが通じた場合や
ブラックドッグに発見されない様に上手くやり過ごせば助かるとされているほか、
川を横切る事ができないので川を渡れば逃げ切る事ができるともいわれています。
一説にはギリシャ神話に登場する女神・ヘカテーの眷族とされる
犬や狼がその根源とされており、
冥府の女神でもあるヘカテーの従属者である彼らもまた
死の先触れや死刑執行者としての役割があると考えられていたようです。
そのイメージの根源は16世紀イギリスの劇作家シェイクスピアの『マクベス』の作中で
魔女が言及する、「魔女の女王である地獄の女神ヘカテーの猟犬たち」と考えられています。
ヘカテーは中世以降のヨーロッパでは
「松明を掲げて犬を従え、夜の三叉路に現れる」とされ、魔女が信仰していると考えられていました。
ヘカテーの本来の姿は古代ギリシアの新月の女神。
月のない夜を象徴するヘカテーの従者は、当然ながら黒い色で想像されました。
ヘカテーは再生と共に死も司る女神であり、
彼女に従属するブラックドッグたちは、
死の先触れや死刑の執行者としての側面を持つと考えられたのです。
またしても人の犠牲になる動物たち
イギリスでは新しく墓地を造る際に
「最初に埋められた死人は天国に行けず墓地の番人になる」という迷信から、
死者を埋葬する前に黒犬を埋める事がありました。
この墓守犬も黒い体に赤い目のブラックドッグと呼ばれますが
墓地を墓荒らしから守る以外に人を驚かせたり傷つけることはなく、
道に迷った子供を助けたり、教会の葬儀の鐘に合わせて遠吠えを上げて
死者の魂の行き先を神父に知らせるなど、基本的に温和であるようです。
また、この“ブラックドッグ”には“うつ病”、“落胆”といった意味があるというのです。
この単語が大衆化され始めたのは、
ウィンストン・チャーチル元イギリス首相が、
自身のうつ病は“ブラックドッグ”だと表現したことがきっかけでした。
彼は生涯を終えるその瞬間までうつ病と闘っていたとされており、
永遠の眠りにつくその瞬間にも
「生涯私に付いてまわっていた黒い犬がいた」と口にしたといいます。
その後、“ブラックドッグ”はうつ病を象徴するものとなりました。
ここで、あれ?と思いませんか?
イギリスには、主に黒い色の毛色の
マンチェスタードッグがいます。
黒い色=不吉であるのならばきっと、
黒い色の犬の繁殖は行わなかったはず。
黒い猫が不吉である、というのが万人の常識ではないように、
黒い犬が不吉である、というのもごく一部の常識なのでしょう。
こんなにも可愛い黒い色をした犬。
不吉の象徴であるわけがありません。
黒=喪服は間違い。日本の喪服はもともとは白かった?
日本の歴史において喪服が初めて登場したのは、
奈良時代と言われています。
日本最古の歴史書である「日本書紀」によれば、
当時の日本のご葬儀では、故人の親族や会葬者は
白い喪服を着用することが通例だったとされています。
日本での喪服は、その後千年以上にわたって、白い喪服が主流となりました。
白い喪服の伝統が変わり始めたきっかけが明治維新と言われています。
1878(明治11)年に、「維新の三傑」の1人で、
現代でいうところの首相にあたる、
初代内務卿を務めた大久保利通が暗殺されます。
その大久保利通のご葬儀は、多くの諸外国の国賓から注目されました。
それを考慮した政府から、「会葬者は喪服を黒で統一するように」とのお達しがありました。
これは諸外国の葬送の服は黒であったことに習ったもの。
また、1897(明治30)年の皇室のご葬儀に列席した欧米諸国の賓客たちが、
ヨーロッパ王室式の黒い喪服を揃って着用していたのを見た政府首脳部は、
日本人の会葬者にも黒い喪服をしつらえさせました。
これらをきっかけとして、上流階級の人々の間で、
黒を国際標準の喪服の色として認識する気風が広まり、
1915(大正4)年の皇室令により、宮中参内の喪服は、
帯締め・帯揚げ・足袋は白で、それ以外は黒を着用することが正式に定められました。
しかし、この時点ではまだまだ庶民には、黒の喪服は縁遠いものでした。
庶民に黒の喪服が広がったきっかけとなったのが、第二次世界大戦でした。
当時の喪服は、貸衣装を着用することが一般的で、
貸衣装屋には白と黒の喪服が混在していました。
第二次世界大戦によって日本中に戦死者が急増し、
貸衣装屋で喪服を借りる人も急増しますが、
借りる頻度が増えたことで白い喪服は汚れが目立ち、
直ぐに使い物にならなくなってしまいました。
そこで、貸衣装屋は、汚れが目立たず手入れのしやすい黒の喪服を揃えるようになりました。
その後、手入れのしやすさや喪服を黒に統一している欧米諸国の影響もあり、
急速に黒い喪服が庶民にも広まっていったと言われています。
なんだかマジかー、と言いたくなる理由ですね。
黒い色が不吉なのも、黒い猫が不吉なのも、黒い犬が不吉なのも、
すべて人が作り上げた都合。
犬や猫、はたまた黒い鳥の象徴のカラスにとってはいい迷惑ですね。
今日のヒメちー
よいしょ、よいしょ。
ん?ヒメちー、何してるの?
黒猫になってもラブリーか試してみようかと思って。
イケてますね。
黒猫さんも悪くないわね。
そもそも、猫は自分の毛の色など、気にしないものです。
きっとワンコだって気にしてないですよ。
大事なのは箱の色と素材です(`・ω・´)キリ
人があれやこれや、勝手な事を言ったって、
猫も犬も、そんな事関係ないさーって思ってるのかも。
コメント
こういう過去の例を見ると迷信の数だけ犠牲があるってのがよくわかりますよね(´・ω・`)
他の人たちがヘンなイメージに惑わされないように、自分もガッチリ発信強化せねば(*´ω`*)
黒ひめちーちゃん可愛い( *´艸`)
ありがとーございまーす(*´ω`*)
無知な人が恐れるあまり作り出した偶像によって、
より恐れると言う不思議な構図です。
魔女狩りもですが、多くの動物たちも犠牲になったのでしょうね…。