『吾輩は猫である』に登場する絵葉書の猫の作者ルイス・ウェイン

 

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猫の擬人化はいつ生まれたか。

 

二本足で立った猫が、洋服を着て靴を履き、

人間のように食事をしたりクリスマスパーティを楽しんだりする

このイラストを見たことがある人は、案外多いのではないでしょうか。

動物を擬人化するのは今やよくあるスタイル。

驚いたことに、この猫のイラストが18 世紀末、誕生していたという、

時代の最先端を行くようなお話。

夏目漱石の『吾輩は猫である』に登場する、絵葉書の作者とも言われ

朝日新聞デジタルより

 

晩年、統合失調症を患いながらも、

それでも猫を描き続けたイギリスの画家、ルイス・ウェイン( 1860年 – 1939年、享年78歳)。

彼はインターネットを介して広く知られるようになったのです。

 

 

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ルイス・ウェイン、猫画家としての物語

 

かつて海外では、猫好きたちは少々変わり者であると思われていました。

ひとに従順な犬と違い、どこかミステリアスで

つかみどころのない存在。

神でもあり魔女の使徒とも呼ばれる二面性。

太陽が「生」の象徴であるのならば、

闇夜は「死」の象徴。

その闇夜を好んで活動する猫は神秘的な存在でもありました。

それを象徴するのがルイス・ウェインだと言われています。

生前のルイス・ウェインは穏やかとは言えない人生を送りました。

晩年は精神病棟施設の中で暮らしながらも、猫を描き続けたのです。

 

 最愛の妻と子猫。

 

そもそもルイスが猫の絵を描くきっかけとなったのには、

家族の反対を押し切って結婚した妻のエミリーと一緒に

雨の中で見つけた1匹の子ネコ、ピーターの存在がありました。

身分制度が色濃いこの時代に、

上流階級に属するルイス・ウェインと家庭教師だったエミリーの結婚を、

世間は白い目で見ていたのです。

けれど彼らはお互いの心に欠けていたピースを探し当てたように愛を育み、

幸せな結婚生活を送っていました。

その幸せも束の間のもので、結婚から半年足らずでエミリーの末期癌が発覚。

その悲しみのどん底で、2人は子ネコのピーターと出会ったのです。

エミリーを喜ばすために描きまくったピーターのイラストの数々。

後に、この絵を新聞社のオーナーに見せたことがきっかけとなって仕事をもらい、

ルイス・ウェインが描いた猫のイラストが大ブームになったのです。

ルイス・ウェインのネコたち /猫本専門書店 より

 

最愛の妻エミリーを亡くしたルイス・ウェインの喪失感は深いものでしたが、

ルイス・ウェインは取り憑かれたようにネコの絵を描き続け、

猫画家として有名になります。

諸説有りますが、当時、猫は不吉な存在で、

ネズミを捕ってくれるだけの動物とみなされていましたが、

ルイス・ウェインがペットとして飼い始めてから、

より一般に浸透していったと言われています。

著名人が飼っているものは素晴らしいもの。

今の時代にも通ずるものがありますね。

ルイス・ウェインの猫への愛が、今日の猫ブームに続いているのは間違いなく事実。

そう思うと彼がより身近に感じられますね。

 

 

「精神病院のアートにおけるモナリザ」

 

写真のルイス・ウェインは片方の手を真っ白な紙の上に置き、

もう片方はそばにいる柔らかそうな猫へ伸ばしている。

その背後の壁の模様は、後年彼の作品に登場する

壁のパターンと似ていなくもない。

この部屋で、ルイス・ウェインの猫の絵は生まれたのでしょうか。

周囲の人々から『チャーミングだがちょっと変わった人』と

評価されることが多かったルイスですが、

次第に現実とファンタジーの見分けがつかなくなっていきました。

話し振りも舌がもつれて何を言っているのか理解できないことが増えていき、

そしてルイス・ウェインの行動や言動は決定的に変わってしまい、精神病を発病してしまう。

精神病理学の教科書においては、

ルイス・ウェインの一連の絵画作品の表現の変遷が、

彼の精神症状の悪化を示している事例として広く取り上げられています。

 

 悪化する症状の各段階を図示した”フェイマス・シリーズ”

 

ルイス・ウェインの死後、作品が再び陽の目を浴びたのは、

それから直ぐの1939年のことでした。

ロンドン在住の精神科医・ウォルター・マックレイが

ガラクタ店でウェインの作品8点を発見しました。

最初の2点はかなり写実的で、

大きな目と、毛並みが柔らかそうな顔をしたディズニー風の猫が描かれる。

3点目の猫も猫と分かるが、周囲に放たれる虹のような輪が描かれる。

それ以降の5点は、鮮やかな色彩で彩られた形状と

フラクタル図形で構成されたカオスへと変貌しているのがわかります。

まるで万華鏡を覗き込んだかのような描写。

マックレイは患者の作品はその心を覗き込める窓だと考えており、

ルイス・ウェインの作品も額に収められ、

「1人の芸術家の病の進行が絵に現れたもの」として展示されました。

彼の作品は、”フェイマス・シリーズ”と呼ばれ、

悪化する症状の各段階を図示したものとして紹介されましたが、

真実はもう少し込み入っている。

ルイス・ウェインの猫たちに、

彼が何を考えていたのか聞くことができればいいのだがそれも叶わない。

多くの謎と都市伝説をまき散らしながら、

ネット上では今日もどこかで、

「精神病の病状と共に作風が変化した絵」としてルイス・ウェインの猫の絵が閲覧されている。

この一連の作品は「精神病院のアートにおけるモナリザ」になったと言う。

 

 

映画『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』カンバーバッチが演じたネコ画家の生涯

 

ルイス・ウェインと、猫の絵の物語は、

ベネディクト・カンバーバッチが英画家ルイス・ウェイン役を演じる

The Electrical Life of Louis Wain 『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』

と言う映画になっています。

すでに他界した妻が、ウェインにこう語りかける。

昔から猫は神話の神としてあがめられ 魔術や罪の同類とさげすまれた
あなたが初めて 猫の滑稽さに気づいたのよ
愚かでかわいらしく 寂しげなの
怖がりで 勇敢で 私たちみたい
その頭で何を考えているの?

このセリフが印象的です。

 

 

今日のヒメちー

 

ぐうぐう。

ぱちり。

猫が人間のように生活を楽しんでいるなどと言うことは、当たり前のこと。

擬人化ではなく、猫そのものの姿なのです。

それは大きな秘密ですが…。

他言は無用です。

もし、うっかりしゃべってしまったら…。

恐ろしい結果が待っているのです。

も、もしうっかり、

誰かに話してしまったら…。

猫パンチが飛んでくるのかしら。

 



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