バッグはメソポタミア文明からあった?
先日、ポケットの有無は女性差別であるという記事を書きました。
たかがポケットで大げさな、とお思いになっていらっしゃるかもしれませんが
ポケットはそのくらい重要なアイテムなのです。
衣服にポケットがない女性は、どのようにスマホやお財布、
ハンカチなどを持ち運ぶか、と言う課題から生まれたのがハンドバッグです。
それまで「バッグ」と言うものは大きな荷を入れて運ぶもの、という役割でしたが、
女性のサロンデビュー、社会進出とともに
「女性がものを入れて持つもの」と言う役割に代わって行ったのです。
ハンドバッグの歴史は、紀元前9世紀にまでさかのぼるとか。
当時、現在のイラク北部にあたるメソポタミア地方では
アッシリアという国が栄えていました。
そこで作られた有翼神像が、今のハンドバッグにそっくりのものを持っているのです。
それをハンドバッグのルーツとする説があります。
そして、ぐっと時代が下って、中世のヨーロッパでは、
現代のポシェットにそっくりのバッグが登場します。
当時のポシェットには紐がついていて、
それを腰のベルト結びつけて使っていたそうで、
1570年頃の「婦人の肖像(90×72cm)」 (ベルリン国立美術館展カタログより)
オモニエールと呼ばれていました。
これって、今でもこういうスタイルのポシェット、ありますよね。
ハンドバッグ誕生。でもそれは手がふさがる不便なもの。
女性服におけるポケットのあり方が大きく変わったのはフランス革命期のこと。
それまで女性はポケットを隠す余地のある幅広のスカートを履いていましたが、
フランス革命後は体に沿ったシルエットで、
腰周りもすっきりとした衣服が着用されるようになりました。
1891年には女性にコルセットを捨てて、
ゆったりしたズボンなど健康的な衣服の着用を呼びかける
Rational Dress Societyという協会が設立されたことをきっかけに、
女性の衣服は自転車を運転できるような自由のきく形になっていきます。
また、フランス革命は財産のあり方やプライバシー、
規範などが大きく変化しました。
革命期、スカートの下に大きなポケットを持っていた女性は
公共の場に自由に物を持ち込むことができましたが、
この「自由」こそが、革命期に非常に恐れられたことでした。
そこで、女性が公共の場に出向いたり、
ハレンチな記事などを持ち歩いたり、一人で出歩いたりすることを防ぐために、
衣服の下に隠されたポケットは取り除く必要があったのです。
女性蔑視的な背景がないわけではないのですが、
実際のところは、むしろ政治的な理由が大きいと考えられています。
衣服の下に大きなポケットを入れることができなくなった。
だからといって女性が荷物を運ぶ必要があることは変わらないため、
その解決案として「ハンドバッグ」が生まれました。
この時生まれたハンドバッグは美しく飾られており、
ブレスレットのように装飾品付きのチェーンがついているものも多くありました。
このことからも、ハンドバッグは「見せる」
ということを前提として作られていたことがわかります。
男性であれば、必要なものをさっとポケットに入れて出かけられる。
しかし女性は、手荷物を一つ、持たなければなりません。
ハンドバッグはおしゃれのアイテムとしても広がりを見せましたが、
不便には変わりなく、だんだんとショルダーから下げられるものが普及し、
また、ポケットの重要性を説く女性の服飾デザイナーなどの手によって、
女性の衣服にポケットが付くようになり、
女性の手は自由なものとなったのです。
時代は一周回って戻ってくる
ここでひとつ、気づきませんか?
数年前から、スマホをバッグに入れずとも済む
「スマホホルダー」が登場し、肩からスマホを書けることができ、
バッグの中を探さなくてもよくなったことに。
女性の服に、少し、小さなポケットが付いていたとします。
小さな携帯電話だった時代には、小さなポケットに入れることができたでしょう。
携帯電話からスマホになり、大型化しました。
せっかく手が自由になったのに、また、女性は自由を失ってしまうこととなったのです。
ハンドバッグにスマホを含む必要なものを入れる。
スマホを使う時はバッグから取り出さねばならない。
これを解消するためのスマホホルダーですが、
時代は進んだものと思われていましたが、
実際は輪になっていて一周して戻って来ただけだったのですね。
さて、タイトルの小さなバッグ、ですが…。
これは数年前、まだコロナ過と言われる前に
とあるブランドの特招会に行った時のこと。
カップルと乏しき二人組の、彼氏のほうがこう言いました。
「小さいバッグカワイイじゃん。小さいのにしなよー。」
彼女はこう返します。
「小さいバッグの女は怖いよー。
だってバッグの中身、化粧品とスマホだけだよ?
お財布なんて入らないからね。」
聞いていて、思わず納得。
今やスマホ決済が普及し、お財布に現金を入れずとも出かけられる社会になっています。
それでもバッグを持って出かけてしまう。
その日着た洋服に合わせてバッグを選ぶ楽しみもあります。
女性のハンドバッグは実用的なものから
装飾品へと逆戻りしたわけです。
時代の変化は面白いですね。
今日のヒメちー
バッグは実用的なものでなくてはなりません。
実用的と言うのは…。
ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
このバッグはちっとも実用的ではありません。
どこからも入れないじゃないですか。
バッグにおける重要事項は、
猫が入れるかどうか、です。
異論は認めません。
小さいバッグなど、この世にあってはならないのです。
女性を荷物から解放するのは結構ですが、
同時に、ネコが入れなくなるということですよ?
小さいバッグを持つねぇやんなど、
何の意味もないのです。
おー怖い。
…。
もしも中世のような、スカートの中にポシェットを入れるスタイルが現代でも続いていたら…。
ヒメちーはスカートの中に入るのかしら…。
それはそれでウエルカムだわ。
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