政府の無策が招いた乳牛の殺処分と乳製品の値上げ。 | ヒメとまいにち

政府の無策が招いた乳牛の殺処分と乳製品の値上げ。

 

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牛乳が余っているのになぜ乳牛の殺処分?

 

昨日の記事の続きです。

 

皆さんのコメントでも多くありましたが、

「日本では牛乳が余っている。転用すればいいのに」。

これ、本当にそう思いますよね。

チーズやバターの原材料は牛乳が多くを占めています。

牛乳が余っているのになぜ乳牛の殺処分?

牛乳は、地域の農協が各農家から買い取って、

それを必要とする乳業メーカーに販売しています。

その買い取り価格が、飲用向け(いわゆる牛乳になる)が110円/1kgなのに対して、

なぜか、バターやチーズ向けの加工用は80円/1kg。

これは地域により多少の差はあるものの、

加工用乳が安く買い取られることには変わりがありません。

不思議です。

飲料用でも加工用でも、同じ牛から生産されるものですから。

日本人は牛乳を飲まなくなった、と言われて久しいです。

牛乳は年々消費量が減り、

1996年の505万キロリットルから

210万キロリットルまで落ち込みました。

週4リットルの牛乳を消費する我が家からいったら考えられないわ。

この牛乳だって価格は上がり続けている。

去年まで飲んでいた牛乳は調整乳で鉄分が添加されたもので

1リットル168円で購入できていた。

それが1リットル218円になり、

さらに内容量が900ミリリットルになり、

価格も268円になったため別の牛乳に乗り換えた。

牛乳よりも100パーセント果汁のほうが安い。

牛乳の消費量は減って当然です。

そこに、エサとなる飼料の高騰。

捨てるほど余っているのに、なぜ値上げなのか。

供給が多ければ価格が下がるというのが経済の常。

供給量が少なければ、価格は上がるのです。

それでも、酪農業の方の収入を考えれば…と思って値上げを受け入れてきましたが、

2021〜2022年の牛乳廃棄量は、なんと5,000トン。

一般社団法人Jミルクによると、

2020年の1人あたりの牛乳消費量は、25.4リットル。

したがって、廃棄量5,000トン=およそ20万人分となります。

農林水産省は牛乳の消費拡大に向けて

「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」を開始しました。

「毎日牛乳をもう1杯飲もう」というコンセプトのこのプロジェクトでは、

芸能人と農林水産省の職員とのコラボや

牛乳を使った和食「乳和食」の周知を推進しています。

芸能人を使うことで、無駄な広告費が発生します。

この広告費を回収できるほどに

牛乳の消費が伸びたかどうかは疑問です。

 

 税金を使って消費し、税金を使って殺処分する

牛乳の消費量が落ち込んだからといって、

牛乳を生産しなくてもいいよー、とはいきません。

牛は生き、毎日お乳を出しています。

牛乳が余っているのになぜ乳牛の殺処分?

この牛乳の過剰供給に対し、

国は乳牛の殺処分に対し1頭あたり15万円の助成金を出し

生乳の生産抑制を行っています。

22年度の補正予算に50億円分を計上し、年間で最大4万頭の処分を見込んでいます。

酪農家の方が、見込み違いで乳牛を増やしてしまったの?

と言うわけではありません。

これも政府の愚策の犠牲になっていると言わざるを得ません。

これは2014年ごろから起きたバター不足に原因が帰依すると言われています。

政府は国産のバターを作るため、

生乳の生産量を増やすための設備投資などに補助金を出し、

多くの酪農家がこれに応える形で生乳の増産に踏み切りました。

牛乳が余っているのになぜ乳牛の殺処分?

TBSニュースより

 

国の無計画な補助金による生乳増産計画に伴う大型投資の失敗と言えます。

補助金を出し、増やし、

補助金を出し、減らす。

乳業メーカーは、日持ちのしない生乳を、

保存が利く脱脂粉乳に加工することで当面の対応をしました。

しかし脱脂粉乳の在庫量が昨年最高水準に達したため、

処分せざるを得なくなってしまったのです。

昨年、経営を諦め離農したケースは北海道だけで200戸近くにのぼると報じられています。

生乳を廃棄しないでバターなどの保存できるものに加工したくても、

現在バターは海外から輸入していて在庫過多状態にあるそうです。

また、すでに国内のバター工場では

常にフル稼働してバターを生産している状況にあるのだそうです。

さらに多くのバターを生産するとなると

新たな設備投資をしなければなりません。

でもちょっと待って、バターも値上がりしていますよね?

 

 「バターの生乳価格を下げてバターを安売りすればいい」とはならない理由

バターがたくさん製造されて、余剰在庫になっているのならば

バターの値段を下げて売ればいいじゃないか。

そう思いますよね。

ところがここで、飲用と加工用の生乳の値段の差がネックになってきます。

200gのバターを作るためには、およそ4.2~4.4L(リットル)の生乳が必要です。

もし、原料コストを安くしてバターの価格を下げる、ということになると、

そのしわ寄せは、酪農家がかぶることになります。

また、バターを作れば同時に脱脂粉乳ができてしまいます。

脱脂粉乳は、はっ酵乳や乳酸菌飲料(50%)、

乳飲料(20%)、アイスクリーム類(10%)に使われています。

バターをたくさん生産する。

と、同時に脱脂粉乳を作り過ぎれば、

今度はこちらの在庫が増えすぎることになってしまいます。

牛乳が余っているのになぜ乳牛の殺処分?

農林水産省HPより

 

家庭用バターの賞味期限はおおむね6ヶ月。

牛は暑さに弱いため、猛暑の年には生乳の生産量が大きく減少します。

冬にはたくさん搾乳でき、

夏にはその量は減少する、と言うことからも

簡単にバターを大量に作るというわけにはいかない事情なのです。

メスの牛が生まれて生乳を絞ることができるようになるまでには

実に3年以上かかります。

牛乳や乳製品は工場で加工されますが、

その基となるのは生乳、つまり、牛の命です。

牛乳が余っているのになぜ乳牛の殺処分?

もしもこの命に、税金を使うとしたら、

殺処分ではなく、

チーズやバターの価格に補助を出し、

消費につなげるほうがいいと思うのですが、

そう簡単にはいかないのでしょうか。

 

 

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今日のヒメちー

 

ひとは動物の命に

「愛玩動物」とか「使役動物」とか勝手に名前を付けます。

どれも同じ命なんですけどね。

牛乳が余っているのになぜ乳牛の殺処分?

ひとの都合で、命の値段が上がったり下がったり。

おかしなものです。

牛乳が余っているのになぜ乳牛の殺処分?

ヒメは肉食獣ですし、

ねぇやんも大量に肉を摂取しています。

食肉そのものの是非を問う気はありませんが、

あまりにもひとの勝手が過ぎるような気がします。

牛乳が余っているのになぜ乳牛の殺処分?

いつかしっぺ返しが来るかも…。

牛乳が余っているのになぜ乳牛の殺処分?

昔、牛の値段と、自分の値段があまりにも違いすぎることを嘆いた、

鶏目線の漫画を読んだことがある。

ひとが必要とするからもてはやし、

必要としなくなったら処分する。

いつか来る食糧難に備えて、

コオロギを食べろ、と言う同じ口で、

乳牛を処分しろ、と言う。

ひとはもしかしたら愚かな生き物なのかもしれない。

 

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