ノネコは元々、人間のペットだったネコたちです。
ネコは約1万年前にリビアヤマネコから家畜化されたといわれています。
穀物を狙うネズミなどを追い払うために
飼い慣らされたといわれていますが、
現在では愛玩動物として、多くの人に大事に飼育されています。
飼い猫も野良猫も、同じ猫です。
野良猫は野良の親から生まれたか、
飼い猫であったものが人の手で遺棄されたり、
逃げ出したり迷子になったりした末に野良暮らしをしているのであって、
飼い猫と種族としてはなんら変わるところはありません。
もともと日本には猫の祖先はおらず、
日本に持ち込まれたときには「飼い猫」であったものが、
逃げ出したり、遺棄されたりして繁殖したものです。
所有者のいない猫（いわゆる野良猫）のほかに、
『ノネコ』と呼ばれる猫がいることをご存じでしょうか。
『ノネコ』は飼い主がいなく、
人の集落を離れ、自分でネズミやウサギなどの小動物を捕食している猫のことです。
野良猫は、ノネコと同じように飼い主がいないのですが、
餌は人の出したごみを漁るか、
人からもらっている猫のことです。
どちらも所有者のいない猫に変わりはありませんが、
大きく違うのは、野良猫は駆除の対象ではなく、
ノネコは駆除の対象だということです。
野良猫の殺害は認められていないがノネコの殺害は認められている
2018年3月、環境省は絶滅危惧の固有種・アマミノクロウサギの保護のため、
奄美大島におけるノネコ管理計画の策定を発表しました。
同年7月に山中に100基の箱ワナを設置して捕獲に乗り出しました。
奄美大島や徳之島でも、猫は自生していたわけではありません。
昔はネズミやネズミを狙ってやってくるハブ対策として
猫を放し飼いをしていたといいます。
しかし、そのような放し飼いにした結果、逃げ、
山中で生活する猫がでてきたほか、
ペットとして飼われていた猫が、山中に捨てられ野生化するケースもみられ、
これらの猫（ノネコ）が在来種を捕食する事例が発生しています。
オキナワタイムズより
このノネコが、遺存固有種のアマミノクロウサギを
餌として捕獲、捕食してしまうのです。
動きのゆっくりとしたアマミノクロウサギはノネコにとって、格好の獲物です。
可愛そう、と思うかもしれませんが、自然界では、
ノネコもまた何かの動物の獲物です。
環境省によると、
ノネコは狩猟鳥獣で、他の狩猟鳥獣に同じく狩猟期間に狩猟免許を受けて
狩猟者登録の上で許可区域において銃（装薬銃、空気銃）や
罠（くくりわな、はこわな（かごわな）など）による狩猟をし、
あるいは同期間に自由猟法により捕獲することが可能である。
野良猫は狩猟鳥獣ではないため狩猟できない。
とあります。
また、パブリックコメントで、
生物学的な分類ではペットとして飼われているネコ、イヌと変わりませんが、
飼い主の元を離れて常時山野等にいて、
専ら野生生物を捕食し生息している個体を「ノイヌ」「ノネコ」としており、
飼い主の元を離れてはいても、
市街地または村落を徘徊しているようないわゆる「ノラネコ」「ノライヌ」は
「ノネコ」「ノイヌ」には該当せず、鳥獣保護管理法の対象にはなりません。
と回答しています。
が、
鳥獣保護管理法により、山に入り餌を自分で調達し自立しているネコは、
同じ猫でもノネコとよばれ、虐待、虐殺することは違法ではなくなります。
とも。
つまりはこの保護案によって、
奄美地方だけでなく、日本中どの地域においても
『ノネコ』は、狩猟の対象になってしまうのです。
これは日本のみならず、世界でも問題になっています。
ニュージーランドでは14歳未満の子供向けイベントで、
「野良猫狩り競争」という恐ろしいイベントが企画されました。
多数の抗議が出て、中止になりましたが。
大事なことなのでもう一度言います。
野良猫もノネコももともと自然界にいるわけではありません。
飼い猫が放し飼いや飼育放棄などされ野良猫になり、
野良猫がさらに集落を離れて自然の中で生活をし、
ノネコになったのです。
ノネコはもともとは飼い猫
朝日新聞デジタルに掲載されたこの画像。
ケナガネズミをくわえるノネコとされています。
朝日新聞デジタルより
猫に少し詳しい人ならばすぐにわかるでしょう。
この猫はアメリカンショートヘアーのミックスです。
ひとの手によって改良された猫のスタンダード種が、
自然発生することはないのです。
人はその手で、過酷な環境にいる野良猫やノネコを生み出してしまったのです。
さらにノネコには、人によって狩猟の対象になるというさらに残酷な現実があるのです。
ノネコを再び「ねこ」にするために
国の機関ではなく、民間の保護団体が、
ノネコの保護に乗り出し、
これまでに４６６匹を捕獲し、人なれ訓練をし、
譲渡を行っています。
その譲渡先の9割は島外です。
保護活動をしても、６００～１２００匹とされる推定生息数には程遠く
譲渡先を見つけるのも困難です。
まったく区別のつかない野良猫とノネコ
わたしの推しのさっくん。
昨年秋、突然「二児のパパ」になったことをカミングアウトしました。
保護猫のシャチと、ノネコ出身のツナ。
ジャニーズ公式フォトより
こうしてみても、どちらが保護猫でどちらがノネコか全くわかりません。
さっくんはテレビで、保護猫をもらい受けた理由について、こう語っています。
人の手がなければ命がなくなってしまう生き物たちがいるというのをより強く知って。
絶対に猫を飼うなら保護猫がいいと。
さっくんの家の子になったノネコ出身のツナは、
奄美大島で保護されたノネコ。
しゃべくり007よりキャプチャ
都会に住んでいるとノネコの存在に気付きません。
しかし日本でも、自然が豊かな地域では、
元飼い猫がノネコになり希少な野生動物を捕食し環境問題になっています。
猫は1頭のメスが生涯で50～150匹の子猫を産む程に繁殖力が強く、
その身体能力、狩猟能力の高さから
その土地の生物相を乱す存在として
日本生態学会が定める日本の侵略的外来種ワースト100、
国際自然保護連合が定める世界の侵略的外来種ワースト100に含まれています。
猫が外に出たがるからと安易に出すと、
生態系も崩してしまうことがあることを知ってほしいです。
野良猫、ノネコ、飼い猫
生物学上の学名をフェリス・シルヴェストリス・カトゥスと称する
ヨーロッパヤマネコの家畜化した亜種、
いわゆるイエネコ。
ひとつの生物種が片や愛護動物、
片や狩猟鳥獣に位置づけられているこの矛盾に
モヤモヤした気持ちを感じます。
例えばノイヌ・ノネコの子を拾ってきて自宅で飼育したら
いったいどの時点から法的にイエイヌ・イエネコと判断されるのか？
林野庁の回答としては
「ノイヌ・ノネコとは動物の種類の名前ではなく生息の状態を指す」との事。
ではこの子達は何か。
ヤマネコではない。野良猫でもない。別種の生き物でしょうか？
いいえ、猫です。
今日のヒメちー
よいしょ、と。
深い考え事をするのには、
狭い箱の中がぴったりです。
これは狭い穴倉で暮らしていた、
太古の記憶がそうさせるのでしょうか。
飼い猫、ペット、小さな家族。
野良猫、ノネコ、害獣。
どう呼ばれても猫は猫です。
猫であることに変わりはないのに。
ひとはおろかです。
本当だ。
どんな呼ばれ方をしても猫は猫。
飼い猫だって人慣れしていない子はいるのだし、
いったいどこで線引きして、
良いものと悪いものが決められるのだろうね。
コメント