ベビースキーマ~かわいさを武器にした・猫の戦略~

 

 

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ヤマネコはいかようにして猫になったか。

 

猫はヤマネコの仲間です。世界に5種類いるヤマネコのうち、

リビアヤマネコが起源であることがわかっています。

 

リビアヤマネコは、警戒心が比較的弱く、

好奇心は強くて、人になつく性質があるといわれています。

人類は約1万年前に農耕生活を始め、

ネズミから穀物を守るために、猫の家畜化が始まります。

9500年前のキプロス島遺跡で「埋葬された猫」が見つかったのですが、

これが最も古い猫の記録となります。

 

日本では2100~2200年前の弥生時代、

長崎・壱岐のカラカミ遺跡で猫の骨が出土しています。

 

犬と比べて、集団生活を好まない猫がなぜ、家畜化されたのでしょう。

人と猫のそれぞれのメリットを考えてみると、

人間側からの利点は、猫がネズミを捕まえてくれること、に限られます。

一方、猫側からの利点は、

・人が貯蔵した穀物に集まるネズミが得られる

・人の残飯など安定して食料が得られる

・比較的安全な居住場所が得られる

が挙げられます。

 

 犬と猫の持つ特性の差

元来、家畜化は、群れで暮らす習性を持つ動物で行われるものです。

オオカミはむろん、馬や牛も群れで暮らします。

家畜化されると、人間がリーダーを務めることになります。

他方、猫は、単独で縄張りを作って暮らす動物です。

その点で家畜化に向いているとは言い難いのです。

このように整理してみると、人と猫との関係は、

人の側にメリットがあまりないように見受けられます。

それなのに、なぜ人と猫はともに暮らすパートナーになったのでしょうか。

ここで犬と猫のイメージを比較してみましょう。

わかりやすい例で言いうと、犬は、感情表現がとても豊かです。

尾を振ったりじゃれたりといったことだけではなく、

顔の表情をいろいろと作ることができます。

多くの飼い主が一瞬で犬の気持ち、「うれしい・寂しい・困った・怒った」を理解できる。

こうした犬の豊かな感情表現は人と共生するなかで獲得していった能力と言えます。

おっうで猫は表情筋が乏しく、感情が顔に現れないと言われます。

そして犬と人が長年にわたって結びつきを深め、家畜からパートナーになったのです。

犬は「絆」、猫は「かわいい」というイメージを持たれていることに注目してください。

人は猫に対して本能的にかわいいと感じます。

これは猫がそう思わせるベビースキーマ(赤ちゃんの特徴)を持っているため、

人に保護したい欲求を生じさせるのです。

 

 

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ベビースキーマって何?大人の猫にもあるの?

 

ベビースキーマとは、大きな頭、大きく丸くかつ下の方にある目、

ふっくらした頬、太く短い手足、ぷにぷにした肌、不器用な動きなどです。

ベビースキーマとは、ノーベル生理学・医学賞(1973年)を受賞した動物行動学者
コンラート・ツァハリアス・ローレンツが提唱した概念であり、
幼い動物が持つ身体的特徴を指す。
例えば、身体に比して大きな頭や、短くて太い四肢などが
対象に対するかわいい感情を喚起させる特徴とされている。
この特徴はベビースキーマ(赤ちゃん図式、ベビーシェマとも)と名付けられ、
ネコや、動物の子どもにも共通の特徴として知られる。

一人では生きていけない赤ちゃんがこの武器を持つことで

大人から自然と大切にされてしまう。

これがすべての生命の繋がりと関係しているのでは、と言われています。

ただ、猫に限らずどの動物でも赤ちゃんの頃はこの特徴と一緒です。

が、実は、猫はいくら成長しても顔が幼いままなのです。

猫だって成長すれば大きくなりますし、ひと目見れば成猫だと分かります。

しかし猫は成長しても、おでこが広くて顔が丸い・

大きな目に小さな鼻・顔のパーツが全体的に低い位置にあるなど、

成長したとしても顔だけはベビースキーマの特徴が残っているのです。

ぢゅのさんのイラストはベビースキーマをよく表しています。

可愛いですよね。

同じネコ科でも大人のトラやライオン・ヒョウは、目が小さくて鼻が大きく、

パーツの位置も低い位置にありません。

そのため赤ちゃんのように守ってあげたいと感じる人は少なく、

むしろ顔を見ただけで恐ろしさを感じてしまう人が多いのでしょう。

もちろん、ライオンやトラの赤ちゃんは、

ベビースキーマの特徴を持っていて、とても愛らしいです。

こういった要素は人気のキャラクターも備えています。

たとえば、世界的に人気のある「ハローキティ」などはその典型と言えます。

サンリオ公式HPより

 

猫は見た目においてかわいさを有しているわけですが、それだけではありません。

たとえば「にゃあ」という猫ならではのかわいらしい鳴き声は、

人に対してしか使わず、猫同士では使わないのです。

人に受けのいい鳴き声を選んでいるわけです。

さらに、気に入った人や物にすりすりしたり、人の膝に乗ったり、

はたまた 香箱こうばこ 座り(前脚を折って伏せて座る)をしたり…。

猫はあらゆる手段を使って、自らのかわいさを最大限に発揮しようとしています。

つまり、猫は、かわいさを武器に猫族として繁栄することに大成功したと言えるのです。

 

 

猫と同じ秘密を持つ動物

 

実は、おとなになってもベビースキーマを武器にしている動物は猫だけではありません。

 

 パンダ

パンダの目は本当はすごく小さいのですが、

周りにある黒い模様によって目がとても大きいように見えます。

これにより、おとなになってもベビースキーマの特徴を持ち続けているのです。

白と黒を反転させてみると…。

なんだかちょっと目が粒らと言うか、小さいと感じます。

目の周りの黒いふちが無かったり、

白と黒の模様が違う場所にあったら、
動物園でのあの人気はなかったかもしれません…。

 

 シマエナガ

鳥の中でも群を抜いて人気のあるシマエナガ。

現在はグッズや写真集などでも多くの人を魅了しています。

このシマエナガも猫同様、丸いフォルムに大きな目、

顔のパーツが低い位置にあるなど、ベビースキーマの特徴を多く持っています。

…つまりは世界の可愛さは

猫でできている、と言うことですかね。

ヒメちーってば大きく出たわね。

否定はしないけれど、他にもね、いろんな可愛い要素と言うものがあるのよ。

でも猫は、可愛さを武器に、

ここまでの地位にのし上がったのは間違いないわね。

 

コメント

  1. 絵本でパンダがお風呂入る時、黒い部分を脱ぐ‥っていうシーンがあって、あまりに可愛くなくて驚いた記憶があります。
    ベビースキーマね、ひめちーの可愛さも納得!