第二次世界大戦中、戦場へ向かった猫が居た。
船における猫の任務
1941年5月にイギリス王室の名を冠する戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」と
ドイツの「鉄の聖堂」こと戦艦「ビスマルク」が
デンマーク海峡海戦で直接、砲火を交えました。
ともに、それぞれの国を代表する戦艦であり、
そして猫が乗り組んでいたという共通点があります。
さらにこの二大戦艦はいずれも短命で撃沈されたものの、
それぞれの猫は生き残ったといいます。
これらの猫たちは勝手に紛れ込んだ「密航者」ではなく、いわゆる「船乗り猫」でした。
猫は古代から船に乗り組んでいました。
食料を食い荒らしたり、船具をかじるなどの害をなすネズミの駆除を主任務としつつ、
守り神になったり、占い師、気象予報士、メンタルサポート、マスコット、広報など、
多くの任務を担う乗組員の一員だったのです。
浮沈のサム伝説
ドイツの戦艦「ビスマルク」は、1941年5月27日に
イギリス艦隊との砲撃戦の末、撃沈され、
2200人以上の乗組員のうち生き残ったのはわずか115人だけでした。
そしてそのなかに1匹の猫も含まれていたといいます。
イギリス駆逐艦コサックは、
沈没の数時間後に海面に漂流する木切れの上に
この猫を発見して拾いあげて救助しました。
この時に救助されたこの猫は「オスカー」と名付けられ、
イギリス海軍に「移籍」したそうです。
![浮沈のサム オスカー 浮沈伝説](https://i0.wp.com/mainichihime.com/wp-content/uploads/2021/09/66c19942ab4ba346fdb64ccc04cde373-20.jpg?resize=500%2C633&ssl=1)
ScienceForEveryoneより
ビスマルク沈没から5か月後
オスカーは地中海と北大西洋の輸送船団の護衛する任務に就きました。
イギリス海軍移籍後に乗り組んでいた「コサック」がドイツのUボートの雷撃で沈んだのち、
オスカーは空母アークロイヤルの乗員に紹介され、
今度はアークロイヤルに乗船することとなりました。
2回の沈没を経験し生き抜いたオスカーは、
艦長によって「不沈のサム」というニックネームを付けられました。
この時までは幸運の猫と見なされていたようです。
![浮沈のサム オスカー 浮沈伝説](https://i0.wp.com/mainichihime.com/wp-content/uploads/2021/09/dda9bb331e5adc2b5a3ca1088fa71280-6.jpg?resize=500%2C375&ssl=1)
ScienceForEveryoneより
しかしその「アークロイヤル」もまた沈没してしまいます。
乗り組んだドイツ戦艦「ビスマルク」、
イギリス駆逐艦「コサック」、同空母「アークロイヤル」の3隻が沈み、
救助にあたったイギリス駆逐艦「ライトニング」、同駆逐艦「リージョン」の2隻もまた沈没と、
係わった全ての船が沈んだにもかかわらず、
オスカーこと浮沈のサム本人は生き延びます。
僅か半年間の間にサムが乗船した船が3隻、
救助に当たった船が2隻沈んだことより、
迷信深い水兵たちは二度とサムを乗船させないと誓ったとされ、
「幸運の猫」と思われていたサムは、一転して
乗艦が相次いで沈没した縁起の良くない猫になり、
サムは「陸上勤務」へ移され、北アイルランドのベルファストで
1955年にその波乱万丈の猫生を終えました。
その後、イギリス海軍は猫を含む全てのペットの持ち込みを禁止しました。
ロンドン近郊のグリニッジ国立海洋博物館には、
ジョージナ・ショー=ベイカーが描いた「Oscar、Bismarck’s Cat」という題名の
サムの肖像画が残されています。
![浮沈のサム オスカー 浮沈伝説](https://i1.wp.com/mainichihime.com/wp-content/uploads/2021/09/0e4aae38a1f5494592124a884058f7cb-6.jpg?resize=407%2C468&ssl=1)
ScienceForEveryoneより
なお、「不沈のサム」は実話ではなくフィクションではないかという指摘もあります。
その根拠として「オスカーあるいはサム」とされる猫の写真は2種類存在することが挙げられ、
また戦艦ビスマルクが沈没したときの海域の状況は非常に過酷であったことから、
猫が例え生きていたとしても救助されたとは考えにくい事からのようです。
真偽のほどは定かではありませんが、
任務に就いた船が3度、救出された船が2度、の沈没から逃れ、
船は沈んでも自身は助かる、「浮沈」と呼ばれた猫。
サムの伝説は語り継がれていくのです。
![浮沈のサム オスカー 浮沈伝説](https://i0.wp.com/mainichihime.com/wp-content/uploads/2021/09/44d29d2792be3bad9a9ed98c7bbb20d6-8.jpg?resize=407%2C565&ssl=1)
ScienceForEveryoneより
今日のヒメちー
ヒメは船には乗らないので、ねぇやんのマットに乗りますね。
ささ、出発しんこー!
ヒメちー知ってた?
このマットゴムだからすぐに沈んじゃうのよ。
え?
Σ(゚д゚lll)ガーン…
マットだと船乗り猫と言うよりも、
サーフィン猫みたいね。
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