ヒメちーの手が出ていたら…これは握手のチャンス
あ、ヒメちーの手が出てる。
こ、これは…。
両方のおててが出てるじゃないの。
片方の手が出てれば握手会だけれど、
これは「挟んでもらう」チャンス。
ヒメちー、待っててねー。
今行くわよー。
ずぼっ。
両方の手で握ってもらえる。
これは無理やり握りにいく握手会よりも大きなご褒美。
握手会はねー、どうしても自分から行ってる感があるじゃない。
ヒメちーのほうから握ってもらってこその喜びよね。
これも充分、自分から行ってるけど。
両手で包み込むようにする握手って、
「握手」以外に何か呼び方があるのかなあ、と思ってググったらなんと。
両手で握手するのは失礼?
日本人の中には、敬意を高めるために握手を両手で行う人もいますが、
これは失礼にあたるのでNGです。
先述の通り、握手は右手同士で行うのが基本であり、
そこに左手を添えると、相手に「媚びている」、「馴れ馴れしい」との印象を与えかねません。
両手握手:両手で相手の手を握る行為は束縛や支配を意味しますので、
注意が必要です。
とあった。
そうなのー?
ちょっとショック。
…ヒメは何を握らされているのでしょう…。
えいっ。
ああ…振りほどかれちゃった…。
ヒメちー、お願い、もう一回握手して。
しょうがないですねえ…。
片手だけですよ?
握手って本来はお互いの右手だけでするものなんですって。
日本人の握手の習慣は文明開化とともに
日本に握手の文化が入ってきたのは、幕末から明治にかけて。
開国とともに外国から入ってきた文化。
それまで日本人にとって、挨拶としての握手は習慣ではありませんでした。
日本の風習として比較的新しい習慣となります。
日本人にとっての挨拶のスタンダードとは、お辞儀です。
お辞儀の種類は身分の違いや状況に応じて変化はありますが、
スキンシップを含むお辞儀はありません。
古来日本人には、他人との最初の挨拶でスキンシップを取る行為は考えられませんでした。
挨拶としての意味を持たない手を握り合う行為から見るならば、
「手と手を取って喜び合う」という表現方法が古くからありました。
「古事記」にも記されており、
また軍記物にも家臣の労をねぎらって手を取る行為が記されています。
これは形式的な挨拶ではなく、
かなり親しい間柄で深い人間関係が根底にあってこその喜びの表現。
または恋愛感情を持っている者同士が、
愛情表現として両手を握り合うという行為が握手に近いものになるのです。
歌舞伎などを観ると、古来の日本人として両手を握り合って愛情表現をする行為が見受けられます。
衆人環視のもとでの挨拶ではなく、人目につかない所で行なうお互いの愛情確認。
これらから、江戸時代まで日本人の手を握り合う行為とは、
喜びや愛情を表現する究極のスキンシップだったと言えるでしょう。
現在の日本での握手と言えば、芸能人の握手会や、
政治家が選挙活動のときにする挨拶回りなどが思い浮かびます。
これらは親しみやすさを表すためのパフォーマンスの要素があるのです。
芸能人の握手会には、日頃触れ合えないファンと交流すると言う意味があります。
テレビや遠くのステージでしか見ることができない芸能人が、
ファンへの感謝の気持ちを込めて行なうのが握手会です。
政治家が握手をするようになったのはロバート・ケネディの影響
政治家が選挙のときに握手をする行為は、
現在では当たり前のように映りますが、
1962年に来日したアメリカのロバート・ケネディの影響を受けたという現代史実があります。
ロバート・ケネディは自分を見ようと沿道に集まっている日本人に近寄り、
気軽に握手をするパフォーマンスをしました。
今ではよく見かけるこの行為は、当時の政治家達に大変なショックを与えたそうです。
そして、その後の政治家達は積極的に有権者と握手をするパフォーマンスを真似していきました。
握手って、パフォーマンスだったのですね。
友好のしるしのあいさつは外国でも右手のみ。
また、日本ではお辞儀をしながらの握手をよく見かけますが、
握手の本場と言われる諸外国では
握手をするときはお辞儀はしません。お辞儀をすると、目をそらしてしまうことになるからです。
握手はグローバルなマナー。
基本は同じでも、国や文化によって少しずつ違うことがあります。
握手一つでもいろいろな感情があるのですね。
「思いやりの心を行動で表すのがマナー」。
結局はこれにつきます。
そういう訳で、お気軽に握手してこないでくださいね。
えー、そんな―。
ほら、これって親愛の情よ。
相手の気持ちを無下にするのも良くないわよー。
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