犬は与えるだけ食べる、猫は少しずつ食べるって本当?
何回目かのペットブームと言われ、
犬や猫を飼う人の数は大幅に増加しました。
ペットフード産業でははペット関連用品を含むペットフードなどの売り上げは
1兆7542億円。前年比110.1%と、7年連続での増加となりました。
ペットフード協会によると、23年の犬の推計飼育頭数は前年比3.0%減の約684万4000頭。
猫の推計飼育頭数は同2.6%増の約906万9000頭だったそうです。
ペットの増加とともに動物に対する食の関心も高まり、
かつてはひとの残した食事を与える生活から
今や専用のフードも多種多様に上ります。
犬と猫、食べ方の違いは?
犬と猫の食に関する違いとして「犬はごはんをあげた分だけ食べちゃう」
「猫はちょっとずつ食べる」というイメージがあります。
が、犬は食事やおやつ、食べきれなかった分を隠すとも。
また、犬は一日に回数を決め食事を与え、
猫はいつでも食べられるようにフードが置いてある場合も多いかと思います。
これらは本当なのでしょうか?
飼育されている犬猫の場合、
飼育環境や犬種(猫種)、性格、体格などからその個体によって食べ方は異なるため、
犬だから猫だから食べ方が違うとは一概には言えません。
ではなぜ、犬は出されたものを一気に食べてしまい、
猫はちょこちょこ食べるという印象を持ってしまうのでしょうか。
このようなイメージの理由として、以下のような犬と猫の食生活の違いがあると思われます。
犬は集団で狩りをする動物
犬は野生下では集団で狩りを行い、獲物を分け合って食べていました。
毎日獲物にありつけるとは限らないため、
まとめて食べられる時に食べ、
さらに他の動物に取られないように素早く丸呑みにし、
食べきれなかったものは横取りされないよう隠す、と言う習性があったといわれています。
犬にとって「ドッグフードは飲み物」とも言われる習性は、ここから来たものかもしれません。
猫は単独で狩りをする動物
猫は孤独の生き物、とも言われるように、
野生下に置いて集団で生活することはありません。
犬と違い、獲物が小さいため、
集団で暮らすと満足な食事にありつけないからです。
狩りも単独でする動物であり、この「ちょこちょこ食べ」は、
猫が一日に何度も狩りを行ってその都度食事を食べていたころの名残でもあります。
少しずつ食べる習性があったため、その性質が残っていると考えられています。
多頭で飼育する場合には、犬と同じように
とられまい、として、急いで食べる習性をもつ個体もいるようですが、
基本、その時食べたい量だけを食べる、と言う食べ方なのです。
犬は満腹感なし!?与えるだけ食べるのは犬の習性。
犬も人間と同じように満腹感を感知する満腹中枢があると言われています。
ただ、いつでもごはんやおやつを欲しがっているのは満腹中枢機能が鈍く、
ほとんど機能していないからです。
「食べなくていいよ」という脳からの指令が遅すぎるので、
「おなかいっぱい」「もういらない」と犬が思うことはなく、
あげたらあげただけ食べてしまうようになってしまっているのです。
犬が満腹感を感じづらいのは、先祖から続く習性によるものと言われています。
満腹中枢が鈍い
満腹感は、脳内の視床下部にある満腹中枢が作用することで感じます。
本来であれば、ごはんを食べると、満腹中枢が血糖値などから刺激を受け、
脳が満腹感を得て「もう食べなくていいよ」という指令を出します。
ところが、犬は満腹中枢が鈍く満腹を感じるまでに長い時間がかかります。
そのため、いくら食べても目の前においしそうなごはんがあれば完食してしまいます。
犬と祖先が同じオオカミも、満腹中枢がないと言われています。
オオカミは24時間ずっと空腹で、常に狩りを続けています。
満腹中枢があるライオンは大きな獲物を食べた後はしばらく狩りを休みますが、
オオカミは獲物を食べてすぐに次の狩りを始めるようです。
ドッグフードが食べやすい
一般的なドックフードはとても食べやすく作られているので、
早食いができてしまいます。
満腹中枢が鈍いと「満腹ですよ」と脳が指令を出すまで時間がかかり、
満腹を感知するまえに食べられるだけ食べてしまいます。
また、野生の頃の習性も関係します。
犬は集団で狩りをして獲物を分け合っていたので、我先に食べる習性があります。
それも早食いの原因となって、満腹中枢が働く前に食べ終えてしまいます。
狩りのなごりで食いだめの習性がある
犬と祖先が同じオオカミは、集団で大きな獲物を獲っていました。
狩りは成功率が低く、次の獲物にありつけるまで時間がかかります。
そのため、一度に大量のごはんを胃袋に保存できるように、
胃袋が大きく進化したと言われています。
また、「食べられるうちにたくさん食べておこう」と大きな胃袋を満たそうとする飢餓感が常にあるので、
一度に食いだめをしておこうと考えます。
犬にもオオカミと同じ胃袋の進化と飢餓感があると考えられています。
犬がオオカミから進化して何万年もたつのに、その習性が残っているとは驚きです。
では、犬は満腹になるのでしょうか。
満腹にはなります。なぜなら、胃の大きさには限界があるからです。
食べ物を鼻でどかしたり、食べ物を隠そうとしたり、
食事の途中でどこかに行ってしまうことがあれば、満腹のサインだと考えることができます。
早食いの対策はできるのか。
いくら習性だと言っても、いつでも飼い主からご飯をもらえる状況にある飼い犬。
もう飢えを感じる必要はありません。
食べたいだけ食べさせていたら、あと言う間に肥満になってしまいます。
たとえば、1日2回の食事の場合、3回にして一度に与える量を減らす。
一度に食べる量より食べる回数を増やしたほうが、犬は満腹感を得ることができます。
多頭飼いしている場合は、犬ごとに食事の場所をわける。
もともと群れで暮らしていた犬は、「早い者勝ち」の習性から、
周りの犬と競って早食いになる傾向があります。
ドッグフードを入れる器の底に、大小さまざまな突起物がつき、
食べにくそうなフードボウルがあります。
これは突起物同士の間にあるフードを少しずつ食べることで
早食いを防止する役割を果たしています。
猫は常にハンティングモード
猫の場合は、お腹が空いたときに単独で小動物を獲っていました。
小動物の狩りは比較的簡単で、胃袋も小さいことから飢餓感も低いため、
お腹が空くまで食べません。
しかも、野生の頃に獲物を一度に食べず、少しずつ食べることで命をつないできたので、
腹八分目で食事をやめるようです。
そもそも、猫という動物は毎日決まった回数食事をする生き物ではありません。
野生の環境では、毎日毎回食事にありつけるということ自体、ほとんどありません。
野生の猫は毎日狩りをして食事となる獲物をとっていたので、
狩りが上手くいった日には食事を食べられますが、
狩りに失敗したり獲物が見つからない時には食事にありつけない、ということが当たり前。
猫は常にいつでもハンティングモードに入れるように
お腹いっぱいになるまで食べなくなった…という説もあるようです。
猫は常にフレッシュを好む。
それと合わせて、自分で狩りをして獲物を捕らえ、食べるという習性のほかに、
“新鮮でフレッシュなものを好む(風味が落ちると食べなくなる)”、
“食事を得るための手段として狩り(遊び)がとても大切”といった習性も、
野生時代の食事スタイルに由来していると考えられています。
猫の適切な食事回数というものは、決まっているわけではありませんし、
猫によってまちまちです。
それぞれの家庭によってライフスタイル、猫の食事スタイルも異なります。
飼い主が仕事をしていたり、深夜は寝ていたりして、
何度も食事を与えることが現実的ではない、という方も多いと思います。
そんな時は自動給餌器を活用するのも一つの手です。
自動給餌器で与える量を設定することもできますので、
猫が無理なく食べ切れる量を与えれば衛生面でも安心ですね。
今日のヒメちー
ポリポリポリ…。
もぐもぐもぐ…。
ふう。ごちそうさまです。
いったいどこを食べたかわからないフードボウル。
多分10粒くらいは食べてる?
ヒメちーは典型的な「ちょこちょこ食べ」。
食べきることはまずなく、それでも時間がたったらご飯は取り換える。
半分くらいは捨ててるのじゃ…と思う小食っぷり。
競合相手とかがいれば違うのかもしれないけど。
ちょっと太古の記憶、あり過ぎじゃない?
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