【季語にもなってる初鰹】初鰹は女房を質に入れても食え!に見る日本人の初物好き。 | ヒメとまいにち

【季語にもなってる初鰹】初鰹は女房を質に入れても食え!に見る日本人の初物好き。

 

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慣用句・「初鰹は女房を質に入れても食え」に見る江戸っ子の初物好き

 

昨日、スーパーで、「さくらんぼ」が売られてるのを見た。

ここのところようやっとアメリカンチェリーを見るようになったなー、と思ったのに、

もうさくらんぼ。

そう言えばスイカはだいぶ前から売られている。

どちらも高いから手を出さないけれど、

ここまで、先取りで何かをありがたがって食べるのって、

日本人の気質?

 

 「江戸っ子なら初鰹を食べるのが粋」

江戸時代のことわざに「初鰹は女房を質に入れても食え」というのがあります。

慣用句・「初鰹は女房を質に入れても食え」に見る江戸っ子の初物好き

この時代の鰹は高級な魚でした。

「粋」といった独特の美意識を持つ江戸っ子たちの間では

「初物を食べると75日長生きする」との言い伝えがあり、

ナスやキュウリなど初物をこぞって飛びつく習慣がありました。

あまりの過熱っぷりに「初物禁止令」なる物も出たほど。

 

たった75日?!と思いますが、当時平均寿命は短く、

75日でも長く生きられればありがたいとされていたそうです。

中でも「勝男」と呼ばれ縁起物とされた初鰹はその10倍、

750日長生きするなどとも言われ、非常に高値となった時期があったのです。

慣用句・「初鰹は女房を質に入れても食え」に見る江戸っ子の初物好き

初鰹は夏の風物詩。

「江戸っ子なら初鰹を食べるのが粋」と言う習慣が生まれたのは、

このことからだったのですね。

 

 初ガツオはいくら?

どのくらい高級な魚だったかと言うと、

現代の貨幣価値に換算してなんと1本20万~40万円。

20万と40万じゃずいぶん違うじゃない、と思われるかもしれませんが、

江戸時代はインフレが激しく、

1両の値段は、江戸初期では10万円ほど、

江戸時代後期には3万円ほどであったと言われています。

文化9(1812)年3月25日に芝浦の魚河岸に入荷した初鰹の数は

全部で17本。そのうち6本は将軍家てお買い上げ、

3本は料亭八百善が2両一分で買い、残りの8本を魚屋が仕入れ、

そのうち一本を中村歌右衛門が3両で買って、大部屋役者にふるまった、という記録があります。

慣用句・「初鰹は女房を質に入れても食え」に見る江戸っ子の初物好き

歌川豊国「卯の花月」江戸東京博物館

 

江戸時代の庶民の生活を記した「文政年間漫録」という文献には、

大工さんの収入と生活費が記録されています。

これによれば、大工さんの日当は銀5匁4分。今のお金にすると1万2000円弱。

江戸の長屋の家賃が年間で銀120匁(約26万円)、

お米2升が100文。

銀一匁は現代で約1,250円。

1文は約32.5円。

こうして見ると、1本3両の初ガツオは大変高価であったと言えますね。

「女房を質に入れてでも」という言葉は、

実際に自分の女房を質に入れるわけではありません。

「質に入れてでも〇〇をしたい」という決意を意味する言葉です。

慣用句・「初鰹は女房を質に入れても食え」に見る江戸っ子の初物好き

「十二ケ月錦絵 四月 ほとゝきす・かつほ」渓斎英泉/国立国会図書館

 

たとえとして江戸っ子気質の見栄っ張りな性格を表したことわざなのですね。

 

 俳句に詠まれるほどに恋い焦がれた初ガツオ

当時の漁業は釣り上げた魚を入れる大きな生け簀も無ければ

氷で冷やすという事も無いため、

獲ったカツオの鮮度が落ちないように

運搬船用の「押送船」という櫓漕ぎ船で足早に芝浦へ運んでいました。

安永5年(1776年)に出版された「初物評判福寿草」という初物番付では、

最高位の「極上上吉」に、夏の初鰹が選ばれています。

その様子を表した川柳『初鰹 むかでのような船に乗り』という句が残っています。

他にも鰹に関して、

「女房を質に入れても初鰹」

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」

「まな板に小判一枚初鰹」など、

初鰹を題材にした数々の句や川柳が詠まれました。

かの有名な小林一茶も、

「大江戸や犬もありつく初鰹」と言う句を詠んでいます。

ん?女房を質に入れても…と言うほどの鰹を犬にふるまう?

なんだかおかしな話ですが、

鰹は足が早くすぐに食べなければどんどん鮮度が落ちてしまいます。

なので、犬もおこぼれにあずかれたのでしょうね。きっと猫も。

 

 

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現代の初物とエネルギーの浪費

 

旬よりずっと前の初冬から苺が出回り、

クリスマスには苺を飾ったケーキは大定番。

何なら、ケーキ屋さんでは一年中苺を扱っている。

わたしが子供のころ、いちごは多分今と同じくらいの時期には手に入ったけれど、

スイカは梅雨が明けたころから。

桃も同じ。ブドウはお盆の頃だったと思う。

その頃から見ても、今はずいぶんと早くに、

スーパーに季節を無視した果物が並ぶ。

これも江戸っ子気質の名残りなのか、

旬よりは少し味が落ちる物でも、飛ぶように売れていく。

日本では収穫できない野菜や果物も

世界が狭くなっているおかげで、鮮度を保ったまま

わたしたちの食卓に運ばれる。

国産キウイは冬のほんの少しの間しか出回らないし、

そのほとんどが輸入品。

それでも毎朝ありがたくいただく。

パイナップルもいちごもブドウも。

好きな果物って、もしかしたらそのほとんどは輸送費とか燃料費なのかもしれない。

もったいないね。でも美味しいはやめられない。

これって日本だけの習慣なのかしら?

 

 

今日のヒメちー

 

ヒメちー、今日のスタイルは、何?

慣用句・「初鰹は女房を質に入れても食え」に見る江戸っ子の初物好き

質草にされてはたまらないので隠れています。

ねぇやんならしそうです。

慣用句・「初鰹は女房を質に入れても食え」に見る江戸っ子の初物好き

ねぇやん、神様は無信仰だけれど、

神様に誓って言うわ。

絶対ヒメちーを質に入れたりしないわよ。

慣用句・「初鰹は女房を質に入れても食え」に見る江戸っ子の初物好き

…怪しいです…。

慣用句・「初鰹は女房を質に入れても食え」に見る江戸っ子の初物好き

ヒメちーを質に入れてまでも食べたいもの…。

食いしん坊のわたしでも思いつかないわー。

 

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コメント

  1. 現代でも初競りモノにはけっこうなご祝儀価格が付いたりしますが、
    カツオもとんでもない価格が付いてたんですね(;^_^A

    秋サバ、秋茄子、カツオ・・・
    なんか格言もその時代の風潮が出てて、今だと間違いなく炎上案件ですな( *´艸`)

    • 初マグロ、初マンゴー、初フグ…。
      昨日など夕張メロンが二玉300万円ってニュースを見ました。
      いったい誰が食べるんだろー(^▽^;)
      当時は女の人、子供も立場が弱く売られていく事も…。
      今の世でももしかしたらそう言う闇はあるのかも(^^;)

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