シマウマのゼブラ模様は黒地に白なのか白地に黒なのか。
白と黒のゼブラ模様が美しいシマウマ。
英名をGrant’s Zebraと呼び、
横断歩道はゼブラゾーンと言う。
そのくらい、シマウマ=黒と白の縞模様であることは認知されています。
シマウマは、哺乳綱奇蹄目ウマ科ウマ属。
和名はシマ「ウマ」ですが、
ウマよりロバの系統と近縁であることがわかっています。
ではこの見事な縞模様のシマウマ、
白地に黒か、黒地に白か、どちらなのでしょう。
シマウマの子供の色を見るとわかる?
残念ながらシマウマは生まれたときから縦にシマの入った状態の、
親シマウマと変わらない模様です。
猫の子供は生まれたときは白色寄りで、
大きくなるにつけ、ポイントと呼ばれる濃い色が入ることがありますが、
シマウマの場合は違うようです。
地肌の色を見ればわかる?
シマウマの模様の付いている側の地肌は濃いグレーです。
地肌がすでにストライプになっているわけではなく、
白い毛の部分がグレーであることがわかります。
人の頭皮をは大体がベージュ。
けれど髪色は様々です。
黒い髪の人が多い、わたしたち日本人の髪色と地肌の関係を見ると、
必ずしも地肌の色が髪色に関係しているとは言えません。
2005年の研究によると、
シマウマの白と黒の毛はどちらも
メラニン細胞で満たされた毛包から生えているようだということです。
この細胞は毛や皮膚の色を決定する色素「メラニン」を生成しています。
メラニンが多いと黒やダークブラウンなどの暗い色になり、
少ないと白やブロンドなどの明るい色になるのです。
同様に、シマウマの黒毛にはメラニンがたくさん含まれており、
白毛にはメラニンが含まれていません。
つまりシマウマの白毛を作る毛包では、
メラニン細胞が「オフ」の状態になっており、色素を作り出さないのです。
ブリタニア百科事典によるとこの発生プロセスから、
「シマウマのデフォルトは黒毛を作り出す状態だと言えるので、
黒地に白縞と表現できる」と結論付けています。
黒髪の人は部分的に白髪が生えることがあります。
これは「黒髪がデフォルト」で、「白髪が混じった」状態だと言えますね。
シマウマの縞模様は、種や個体によっていくらか違いがあります。
例えば、顔面や腹部は白色だけの種があったり、脚だけ白い個体がいたりしますが、
どの個体も、「黒地に白い縞模様」であることに変わりはありません。
すでに絶滅したシマウマの一種で、クアッガと言う種がいました。
頭部、首および肩だけに縞のあるシマウマで
南部アフリカの草原地帯に生息していましたが、
このクアッガを見ると、黒地に白のストライプであったことがわかりやすいです。
白い毛の生き物は自然界では不利?なぜシマウマはこんなに目立つ色合いなのか。
シマウマが主に生息するアフリカの草原地帯では、
白い毛色の生き物は大変よく目立ち、
外敵に発見されやすいので生き残りにくいと言われています。
シマウマがもし黒色一色だったら、
きっともっと目立ちにくいのに。
なぜこんな白黒はっきり分かれた、目立ちやすい色なのでしょう。
霊長類以外の哺乳類は色の識別能力が低いと言われています。
つまり、シマウマの白黒の模様は、
霊長類以外の哺乳類が遠くから見た場合には
草原の模様に埋もれ判別しにくいものなのです。
シマウマは群れで暮らします。縞模様は身体の部位ごとに向きが異なり、
群れをなすと各個体の縞模様が混ざって視覚的に同化してしまうのです。
シマウマの天敵の大型肉食獣は人間ほど縞の認識ができておらず、
このため同じところに暮らす単一の色の被毛に対して、
縞模様が特に天敵を混乱させることに優位であると言われています。
シマウマの縞模様には、ちゃんと意味があったのですね。
シマウマのゼブラ模様は高機能だった。
シマウマなど縞模様を持つ生物は、
体表面で温度差を形成して微細な空気の流れを生じさせ
体温調節に役立てているとする研究があります。
この説の真偽を実際の生息環境で検証したところ、
黒縞の部分は温度が大きく上がり、
白縞の部分も黒縞よりは低いが温度が上昇し、
低下を見せたのは温度差が生む風でなく
自然の風が吹いたときだけということが判明しました。
微量の風でも体温を低下させることができるということが
研究で明らかになっています。
カリフォルニア大学のティム・カロ(Tim Caro)博士らの研究チームが、
シマウマの縞模様は、温度の調整だけではなく
吸血性のハエが媒介する伝染病から
身を守るためである可能性が高いとの研究成果を発表しました。
研究チームでは、ウマ科の動物から吸血し、
その際に睡眠病を媒介するツェツェバエなどの吸血性ハエと
シマウマの生息域は地理的に重複し、
またシマウマの体毛は極端に短く吸血が容易であるにもかかわらず、
ツェツェバエの体内からシマウマの血液がほとんど検出されないこと、
ツェツェバエは色彩が均一な面を好んで着地し
シマウマのような模様のある面は避ける傾向にあることが
実験により確認されました。
このことにより、吸血性ハエの被害からの防御と
縞模様との関係は「きわめて高い」と結論づけました。
縞模様はアブにも効果があることが確認されていて
模様の無いウマやウシの体表に縞模様を施すことで
同様の効果を発揮することが判明しています。
山形県では2021年に肉牛の体表を白黒の縞模様に塗ったところ、
アブをはらう動作が減ったことが確認されています。
このように、シマウマの縞模様は、
「黒い地に白ストライプであること」と
そのストライプ模様には大きな意味があることがわかりました。
ただのおしゃれではなかったんですね。
…ということは…。
アフリカ原住民の、このようなメイク。
これにも、ライオンなどの外敵から身を守る意味があるのかしら。
気になる。
今日のヒメちー
余談ではありますが、
ヒメちーの地肌の色は、背中側が薄いグレー。
お腹側がピンクになっています。
お腹側の白い毛の地肌は
メラニン細胞が「オフ」の状態になっており、色素を作り出さないと言えます。
ふう。
いきなり抱っこされたかと思ったら、
隠してある地肌を見られて、
なんだか今日は、いやな日です。
ヒメの模様はヒメが決めたわけではありませんが、
猫はひとつの親個体から様々な毛色が産まれます。
これも猫の重大な秘密です。
そしてこのように…。
白と黒、真逆の色でも、
目立たぬようにもできるのです。
猫の神秘ですね。
縞模様の猫であっても、地肌の色は均一。
これってすごく面白い。
これに対して縞模様のトラは、
地肌もトラ柄になってるんですって。
知りたいことがたくさーん。
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