コーイケルホンディエが急に脚光を浴びた理由
コーイケルホンディエ。
あまり耳慣れない名前です。
これはネコの品種ではなくワンちゃん。
JKCより
犬の血統証明書を発行している「JKCジャパンケネルクラブ」に
「犬種は何か？」と問い合わせが相次ぐなど、
一気にコーイケルホンディエ犬に注目が集まったそうです。
それは21年以来2年ぶり2度目となるア・リーグMVPを満票で受賞した
エンゼルスからFAとなった大谷翔平投手（29）。
日本選手のア・リーグMVPの2度目の受賞は初めてで、
前回に続く2度目の満票受賞は大リーグ史上初めての快挙となった。
満票受賞の他にも話題となったのは、
MVP発表の際に大谷と共に生中継に写った“犬”。
MLBネットワークでの生中継に出演した大谷選手は、
ソファに座りながら茶と白の毛色が混じった犬とハイタッチして握手を交わしたり、
なでながら和やかな表情でインタビューに答えていた。
エンゼルス公式SNSより
エンゼルス公式SNSより
注目を浴びた大谷選手の愛犬はパピヨンとかスパニエル系の顔立ちにも見えますが、
「コーイケルホンディエ」という犬種。
オランダが原産国の狩猟犬で、
第2次世界大戦後に一時は絶滅寸前ともなった世界的にも希少な種で
性格は陽気で忠実でおおらかだという。
日本ではまだ知名度が低く、ブリーダー自体もまだまだ少ない。
コーイケルホンディエってどんな犬？
コーイケルホンディエ（蘭: Kooikerhondje）は、
オランダ産の小型犬の一種。俗にコイケルホンド、コイケル等と呼ばれる。
JKCの登録頭数は、1999年に6頭で近年は132頭(2007年)、
87頭(2008年）、115頭（2009年）、96頭（2010年）、85頭（2011年）、
112頭（2012年）、80頭（2013年）と100頭前後で増えてきている。
けれどわたしも実物は見たことがない。
コーイケルホンディエは16世紀からオランダでカモ猟に使われていた犬。
銃が発明される以前のカモ猟では網が用いられていたが、
網を打つ前に鳥をおびき寄せるのがこの犬の仕事だった。
カモ猟では、ふさふさした尾を茂みの中から見え隠れするように動かし、
仕掛けた網や、銃の射程にカモをおびき寄せていた。
銃が発達した第2次世界大戦が終了するまでには殆どが全滅してしまい、
一時期は世界で5頭までに減少した。
現在では愛好家の努力によって少しずつ増えてはいるが、
依然として本国オランダ以外では非常に希少な犬種となっている。
現在では、ブリーダーが血統を守って管理、繁殖させ
主にペットとして生存している。
日本国内での価格は平均で60万円前後。
多く繁殖させないため、子犬は購入まで2年以上待つこともある。
話題になった犬に群がる人たち
大谷選手が飼うことにより、
一気に知名度を上げたコーイケルホンディエ。
ここまでならばほほえましい話。
けれど問題は、
「話題になったからと言う理由で、この犬を欲しがる人」たち。
前出の「JKCジャパンケネルクラブ」には、問い合わせが相次いでいるようです。
大谷選手のコーイケルホンディエは、
まだ一歳前後の若い個体なのだそう。
華奢に見え、家庭犬として迎え入れたい、
と思う人が居ることは不思議ではないけれど、
コーイケルホンディエは中型犬。
そして猟犬です。
猟犬と言うのは、運動量も多く、
散歩が必須で、できれば自由に走らせてあげないといけない。
お庭で放してあげられる環境か、
ドッグランで思いっきり走らせてあげることが必要。
このニュースを見て「私も飼おう」なんて、安易に思っても
都会ではなかなか飼えない犬だと思います。
勢いで生き物を飼う。
これは人にとっても、動物にとっても不幸になるかもしれない。
トロフィーワイフのように扱わないで
「トロフィーワイフ」という言葉があります。
社会的・経済的に成功した男性が、
その成功を周囲にアピールするために娶（めと）る、
若く美しい妻のことを指すものです。
Wikipediaによると
トロフィーワイフは男性が社会的・経済的に成功した後に選んだ
己のステータスシンボルにするため結婚した女性。
しばしば軽蔑的な用法で使われる。
この言葉は、当のトロフィーワイフには肉体的外見的魅力だけで、
無知または純粋であり、容姿が魅力的であり続ける以外には
ほとんど価値は無い女性を意味する
とあります。
なぜ犬の話の中で突然トロフィーワイフ？と思われるかもしれませんが、
残念なことに、犬や猫を、トロフィーのように
ステイタスとして飼う人が居るのも事実。
大谷選手のコーイケルホンディエを見て、
可愛い。まさに自分が理想としていた犬。と思う人もいれば、
「大谷選手と同じ犬」と言うだけで飼いたいと思う人もいることでしょう。
「大谷選手と同じ犬」と言うことに魅力を感じる人は、
またほかの話題の犬がいたとき、どうするのでしょう。
一緒に暮らすうち、愛情が芽生えればいいのですが、
ステイタスだけで手に入れた犬には幸せな未来が待っているとは思えません。
事実、流行りの犬種、猫種のブームが去った後には
保健所に持ち込まれる犬ねこはほとんどがその
過去の「流行りの」犬猫です。
アメリカの歌手で政治家のKinky Friedman氏の言葉で、
「Money can buy you a fine dog, but only love can make him wag his tail.」
と言うものがあります。
「お金で血統書付きのいい犬は飼えるけど、愛がなきゃ尻尾は振らないね。」と言う意味です。
どんな犬猫でも、可愛がり、愛情たっぷりに育てれば、
すばらしいパートナーとなります。
トロフィーワイフではなく、
いわゆるトロフィードッグである血統書付きの犬も、
愛情をたくさんかけてやらなければ、すばらしい犬にはなり得ないでしょう。
誕生日プレゼント。
クリスマス、何かの記念日。
安易に動物を欲しがらないでください。
もちろん、プレゼントとしてやってきた動物に
生涯変わらぬ愛をささげられる人もいるでしょう。
動物たちは生き物です。
当然、排せつもするし病気にだってなる。
いたずらもするし、時には人の言うことを聞かないことだってある。
動物を迎える前には、立ち止まって、
10年、15年、あるいは20年後の未来を想像してください。
ひとも、動物たちも同じように年を取ります。
最後のその時まで、
いい子だね、可愛いね、大好きだよ、と
伝えてあげてください。
それを想像できなければ、踏みとどまってください。
可愛い、だけでは乗り越えられないことも、動物たちとの暮らしの中にはあるのです。
今日のヒメちー
ヒメのママはもちろんままちゃんですが、
ヒメを生んでくれたママは、野良猫です。
誰かに飼われていたのかとても人懐こい猫だったそうです。
どうして野良猫になってしまったのでしょう。
ネコは人の暮らしと寄り添って生活しています。
捨てられても、
それでも人のそばで生きていくのです。
どうか、おうちの無い猫やワンちゃんが
これ以上増えませんように。
一度は一緒に暮らした動物たちを
もう必要がなくなったから、と言って、
捨ててしまう神経がわたしにはわかりません。
大谷選手の飼い犬と言うことで急に脚光を浴びてしまった
コーイケルホンディエ。
どうか安易に欲しがることの無いよう、お願いします。
コメント
確かに大谷選手のあの犬との映像見た時は、あまりのかわいさにときめいたよね。笑顔の大谷選手も犬っころもかわいくて…。
でも、ゴールデンレトリバー、ハスキー、トイプードル…犬にも流行りあったけど、流行りって何？って飼ってた身としては思うなぁ。生き物を飼うのって責任が伴う大変なことなんだ、ってことをしっかりわかって飼ってほしいな。
やっぱ問い合わせ跳ね上がったんですね(;^_^A
このあたりの倫理を育むためにも義務教育の段階で必須科目に入れるべきって最近は強く思いますよ・・・