トルコに続き、スペインでも動物愛護法が改正される。
スペインでは動物を物ではなく「感情を持つ生き物」として見なし、
ペットは家族の一員として扱われることが昨年1月、
正式に法律で決定し施行されました。
この法律によってスペインでは、
ペットを飼っている夫婦が離婚するときに、
監護権や面会の頻度などを決めることに裁判所が介入するようになったりと、
ペットの扱いに大きな変化をもたらしたのです。
そんなスペインで今月、新たな動物福祉法が上院で承認され
動物の命がより尊重されることになりました。
ヨーロッパでは同様の動物保護を目的とした法制定が次々と行われているようです。
ペットを飼うことの責任をより重く
今回承認された動物福祉法には、
ペットを飼うことに関する項目が多く含まれています。
ペットは家族の一員であると昨年の法律で認められたことから、
ペットを迎え入れ育てることに対してこれまで以上に責任が問われることになりました。
以前と比べ動物を飼うことにたくさんの義務やルールが設定され
動物を迎え入れる事のハードルは上がりましたが、
これらは人間による虐待や粗末な飼育を避けるために
大きな役割を果たすことになるでしょう。
犬を飼う前に講習受講を義務化
新しく犬を迎え入れる際、オーナーとなる人は
事前に犬を飼うための講習を受講することが義務付けられます。
講習の内容、期間、管轄などの詳細はまだ決定していませんが、
無料のオンラインコースになることが予測されています。
日本でもすでに自治体からの譲渡の場合は、
飼育に関しての講習が義務付けられている場合があります。
講習が面倒で…という人もいるかも。
そう言った人が犬や猫の譲渡をためらうと
最後のおうちになってくれなくなってしまうかもしれませんが、
それでも必要なことだと思います。
ペットショップで犬猫の販売を禁止
日本のように店頭で犬猫を販売しているペットショップを
スペインでは既にほとんど見かけることはありません。
今回の動物福祉法で「犬、猫、フェレット」の店頭販売が
全面的に禁止されることになりました。
購入を希望する場合は登録されているブリーダーに
直接問い合わせることになります。
日本でも「悪徳ブリーダー」という種類の人がいます。
いや、もう人にあらず。
こういった悪徳ブリーダーへの取り締まりや罰則はあるのかが気になるところです。
猫は避妊手術義務
猫の飼育に関して、
生後6カ月までに去勢・避妊手術を受けさせることが義務付けられました。
犬の去勢・避妊手術は義務ではありませんが、
もし飼い犬が妊娠してしまった場合、飼い主はブリーダーとして登録するか
中絶をさせないと罰金が課せられることになります。
犬に比べて猫への措置が重いのは、
犬はひとと共に暮らし、野良犬はいないこと。
猫はひとの手を受けず、
野良猫として自然化に暮らしている個体が多いせいもあるのでしょうね。
ペット登録の義務
たとえハムスター1匹であっても
ペットを飼っていることを申請し登録をしなければいけません。
犬、猫、フェレットはマイクロチップの装着が必須となり、
犬の場合は加えて民事責任保険への加入が義務となります。
またペットが死亡した場合、登録を削除するために
火葬や埋葬を誰がどのように行ったかなどの申請を行う必要があります。
動物への虐待を厳罰化
上記の、犬や猫の飼育に関する義務の厳罰化に加えて、
動物への虐待を禁止する法律が施行されます。
この法律によって、動物虐待に科せられる最高刑が
現行の倍になるほど重いものとなりました。
愛護動物に病院にいくほどの怪我を負わせた場合は最大18カ月、
死亡させた場合は最大36カ月の禁固刑が科せられるようになりました。
犬は基本的に常に人間の監視下に置いておかなければならず、
24時間以上放置すると罰金が課せられます。
猫、フェレット、鳥などの他の動物は3日間。
外にいる犬をリードに繋がなかったり、
ベランダで飼育するといった行為も禁止で、
子供同様に車内に放置することもできません。
また、飼い犬が迷子になった際は48時間以内に届出を行う必要があります。
この法律では野良猫も立派な保護の対象となります。
地域に住み着いている猫の責任は主に市役所が担うことになり、
野良猫の住処や餌の世話は市役所職員の仕事となります。
また繁殖防止の方法として殺処分は行わず、
避妊・去勢手術で対処していくことが決定しました。
しかし野良猫の個体数をコントロールするためには
野良猫全体の71%以上が避妊手術を行なっていないと効力がないとのこと。
この部分は、効果が出るまで長い年月を要すると思います。
野良猫のエサや住処の世話は
自治体職員がする、というのは、かなり画期的なことです。
この政策はトルコでも行われています。
個人で出来ることは限られている。
犬や猫、動物があまり好きでない方との共存を図る意味でも
素晴らしい政策のように思えます。
この法案が出たときに議論を呼んでいたのは
「狩猟犬は対象になるか」という点。
スペインの狩猟犬の中には過酷な飼育状態で飼われている犬もいるとして、
動物愛護団体は狩猟犬もこの法律の対象に含めることを求めて
たびたびデモ行進などの抗議活動を行なってきました。
一方で狩猟連盟側は「狩猟犬は特別な活動を行なっているため、
ペットと同じ扱いをすることはできない」と反論を続けており、
この「狩猟犬を対象にするか否か」という点は
この法律を定める上での注目ポイントとなっていました。
結果、狩猟犬はこの法律の対象に含まれないことで同意されたようですが、
狩りの効率化のために犬を長時間空腹状態にしたり、
高齢になったら捨てる猟師がいたりと、
狩猟犬の扱いに問題点があるのは紛れもない事実。
狩猟犬の問題に関してはこれからも議論が続くことになりそうです。
またスペインのほとんどの州で合法となっている闘牛も、
今回の法律の対象にはならないことが決定しました。
命の線引き
日本と同じようにスペインでも少子化が進んでおり、
それに合わせてペットを飼う人は年々増えているようです。
犬は牧場犬や番犬、猫はネズミ捕りと、
昔の人は動物を労働力として飼っていたのに対し、
近年では動物を家族の一員として飼う人が大半になってきました。
そのように人間と動物の関係に変化があったからこそ
今回のような法案が承認されたわけですが、
どの種の動物をどの程度まで保護するのかという
線引きには慎重にならなくてはいけません。
例えば、誰かの飼い犬がしつけを行っていなかったがために
他の誰か、人や動物にかみつき、けがを負わせる。
しつけをしなかった飼い主が厳罰に処せられるのは当然として、
犬の攻撃に抵抗し、けがを負わせてしまった場合。
この場合、抵抗した人には罰はあるのだろうか…。
日本ならば、この犬は即殺処分。
人の命は重く、動物の命は軽い。
そんな現行の人の意識に一石を投じる法施行ですが、
人中心の世の中で、果たしてうまく機能するのか。
動物愛護後進国の日本に住む身としては、
大きく注目したいところです。
今日のヒメちー
おっと、うっかり寝ている間に
凄いニュースが飛び込んできましたね。
このニュースは我々猫族の躍進に
大きな後押しになるはず…。
やはり世界は猫の為に。
これを機に、「世界猫化計画」を推し進めなければなりませんね。
(ФωФ)フフフ・・・
同志たちよ、立ちあがるのです。
ハンモックの中でまったりしながら何を言ってるんだか…。
課題点はきっと多いと思うのだけれど、
それでも、人と、ペットたちの共存する社会、
現実に一歩近づいたね。
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