伝統と安全と。両立できないのには理由がある。
先日、闘犬(土佐犬による事故のニュース)を書いた際、
闘犬と言うのは伝統行事であるから、
その飼育についてとやかく言う必要はない、とのご意見をいただきました。
現代においては必要とはかけらも思われない
悪しき伝統行事だってあるのにね。
過去にも同様の事故があっても
改善もできないのはなぜか。
騒ぐ人が悪いのか。
伝統と、危険性。
この二つを天秤にかけたとき、
どちらを優先するべきかは明らかな気もしますが、
この「伝統」と呼ばれる闘犬について調べてみました。
闘犬の歴史は古く、古代ローマ時代にはすでにあった。
闘犬の歴史は、古代ローマ時代まで遡ります。
当時のローマ人たちがコロッセウムで
奴隷や剣闘士同士を闘わせ、それを見世物にしていたのは有名な話。
犬 も同じような娯楽に使われていたようです。
ローマ人たちが余興の一環として、
軍用犬だったマスティフ系の犬を戦わせることを初めた。
これが闘犬のルーツとなっています。
闘犬の全盛期は18〜19世紀。
この頃にはリング上でライオンやオオカミ、熊、牛など他の動物と、
瞬発力のあるブル系やテリア系の犬種を戦わせる娯楽が盛んに行われていました。
ひとで言うと異種格闘技?
ルールはあるものの、
どちらかが命を落とすまで戦わせる形式の試合も多かったようです。
この頃の闘犬は現代よりも気質が荒く、
より闘いに向いた犬種に品種改良されていました。
20世紀になり、愛玩犬として犬が浸透してからは、
欧米における闘犬文化は人道的な観点から衰退の傾向になります。
闘犬はイギリスをはじめとする動物愛護の先進国では19世紀には禁止となりました。
闘犬大会の開催だけでなく、
闘犬のための犬のトレーニングや繁殖も法律の規制を受けるようになりました。
日本の闘犬文化
日本でも、ヨーロッパの闘犬とは異なるものの
高知県や秋田県などで闘犬の文化がありました。
高知県は土佐闘犬を檻の中に入れて戦わせ、
秋田県では秋田犬を猟師たちの遊びとして戦わせていた過去が記録されています。
特に高知県の土佐闘犬は、伝統あるものとして今でも受け継がれています。
土佐闘犬は、犬の品種の1つ。
四国犬をルーツに持ち、
近代日本で闘犬用に獰猛な大型洋犬と交配改良されて作られました。
一般的には土佐犬と称されることが多い土佐闘犬ですが、
四国犬の正式名称が「土佐犬」のため区別しています。
戦うために作られた犬種と言っても過言ではありません。
世界的には闘犬は残虐な行為とし、
禁止している国も増えてきましたが
「犬は闘うことが本能にあり、
その本能を満たさないことこそ虐待だ」と考える団体もあります。
日本での闘犬のルールでは、
ケガをすることは多くないというのもこれらの団体の言い分です。
闘犬は古代から続く人間の娯楽。
死が身近だった昔に比べ、現代では
死ぬまで犬を闘わせるなんて娯楽は悪趣味としかされないでしょう。
闘犬に使用されてきた犬種は、従順で忍耐力の強い種ばかり。
飼い犬は飼い主の言うこと、命令は聞くように育てられています。
犬は本当に、同種である犬を殺したいのか。
「闘犬」として繁殖させられた犬たち
闘犬は、人間が品種改良して作られた犬種。
闘犬と言えば、
・ピットブル
・土佐闘犬
・ブルドッグ
・ブルテリア
・ナポリタンマスティフ
・ボルドーマスティフ
・チベタンマスティフ
・アメリカンスタッフォードシャーテリア
・秋田犬
・ドゴアルヘンティーノ
・イタリアンコルソドッグ
・シャーペイ
・ベドリントンテリアなどがあげられます。
どの犬も飼い主に対しては従順でおとなしいものの、
ほかの人には心を許さない、と言う特徴を持つ犬種。
日本では、ペットショップなどでも購入することができますが
ピットブルは、イギリスやアメリカなど、一部の国や地域では
「危険犬種」として飼育を規制しています。
こちらはX(旧Twitterで見つけた画像。
合成や画像加工はされていません。
主にアメリカのルールのないブラッドスポーツという大会で戦ってきたピットブル。
そのため、ルールが厳格に決められている日本の闘犬で戦ってきた土佐犬より、
ピットブルの方が闘争心が高く、強いとされています。
日本でも都道府県や市区町村によっては、
ピットブルを「特定犬」として、檻の中で飼うよう条例で定めている場合もあります。
この闘犬たち、従順な性格であると言われていますが、
写真を見ての共通項があります。
クリックで拡大することができます。
それは、皮膚が緩く、噛まれても大きなダメージは受けないという点。
おぞましい習慣・噛ませ犬
闘犬はもともと気性が荒いわけではない。
どのように攻撃的な犬に育てるのか、と言うと、
飼い主に従順、と言う点が大きく利用されています。
先の記事の獣医師のコメントにもありましたが、
犬はぬいぐるみやおもちゃを噛んで遊び、育ちます。
噛むことを飼い主が褒める。
犬にとっては飼い主に褒められるべく、噛みます。
ぬいぐるみでは闘争心が育ちきれない。
ではどうするか。
「噛ませ犬」と言う、ただ噛まれるためだけのために、
犬が用いられるのです。
闘犬は「噛ませ犬」を噛む。
飼い主は褒める。
「噛ませ犬」が命を落とすまでそれは続けられます。
そして、闘犬の中には、
「犬を噛むことはいい事だ」と言う意識が育ちます。
こうして育てられた闘争心。
ぬいぐるみを噛むことと、犬を噛むことの
善悪が付かぬまま、闘犬は育てられるのです。
土佐犬もピットブルも人間が品種改良して作った犬種。
犬に罪は全くない
スペインの闘牛の今。
スペインと言えば闘牛。闘牛と言えばスペイン。
ダリやピカソなど、多くの画家が題材として描いています。
闘牛は昔ながらの伝統的な祝祭行事となっています。
いえ、いました。
闘牛と言うものは興奮した牛を
闘牛士が赤い布を使って巧みにかわし、
戦うスポーツだと思っていましたが、違いました。
「闘牛」とは、スペインの王立言語アカデミー(RAE)の定義によると
「闘牛に挑む芸術」となっています。
闘牛を挑発し、カポーテやケープの動きを使いながら、
闘牛が向かってきたらそれを避け、
最終的には技術と運を駆使して死に至らしめる」行為を指しています。
闘牛士が勝っても牛は命を落とし、
牛が勝ってもその牛は処分されます。
そんなシーンが「残酷」という声も上がり、
2008年にカタルーニャ州では闘牛の禁止を決定しました。
闘犬、闘鶏、闘牛等取締条例
日本では、闘犬、闘鶏、闘牛等の取締、禁止を目的とし、
闘犬等の闘いを見せる目的で公衆を集めることを禁止した、
「闘犬、闘鶏、闘牛等取締条例」と言うものがあります。
1948年に東京都で制定され、
その後、北海道、神奈川県、福井県、石川県で制定されました。
東京都、神奈川県、福井県、石川県では全面禁止とされていて、
北海道では土佐犬に関してのみ許可制とし、
高知県においては現在でも行われています。
伝統か、動物愛護か。
伝統行事として残すのであれば、その飼育は登録制とし、
むやみに飼育させないようにしなければならないのではないか。
闘犬種の犬が家庭犬として飼われている場合、
危険になるかどうかは全て飼い主の責任です。
今日のヒメちー
顔を隠していますが、ヒメです。
動物たちが、ぞんざいな扱いを受けていることを聞くと
心が痛みます。
ひとの娯楽のために、
凄惨な方法で命を落とす動物たち。
もうそういう時代ではないと思うのですが…。
伝統って何ですかね。
歴史ある闘犬、土佐闘犬。
種の保存のためであるならば、
やはり飼育に規制は必要だろうと思う。
間違っても素人が手を出してよい分野ではなく、
ひとと同じ道路を散歩するなど、もってのほかだと思う。
これ以上、不幸な事故が起きませんように。
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コメント
勉強になりました。
伝統、という言葉は、差別を正当化するために使われる言葉でもあると感じました。女人禁制、とかね。
某神社のカエルの串刺しも、伝統という名のもとに必要のない殺生が行われていると思います。もう、命をおもちゃにするのは止めてほしいですね。
ひめちゃん、うちの猫と同じ名前です。かわいいですね!!
コメントありがとうございます(*´ω`*)
伝統という名において、悪しきものが現代でも残っている。
おかしな習慣です。人は常にアップデートして、生きてきているものだと思っていましたから。
カエルの串刺し…。闘牛や闘鶏は、肉を人が食べるそうです。だから無駄な殺生ではないという意見があります。
だとしたら、カエルの串刺しも闘犬も無駄ですよね…。
ひめちゃんとおっしゃるのですね。
うちは雑種なのですが、お姫様気質で、まさに「名は体を表す」となっています(^^;)
伝統ね~
伝統の中にも、守っていかないといけいないものがある反面、間違った方向になってしまったものや時代にそぐわないものに分かれると思います。
残虐な娯楽があった過去は変えられませんが、
それを学びにして、徐々にではありますが、スペインでも一部で闘牛が規制されたりする動きが出てきてますもんね。
先の方がコメントされておられる通り、闘犬や闘牛の他にも
カエルの串刺しや引退した競走馬にかなりの急こう配の上り坂を
ムリに登らせたりするようなものもありますもんね。
本当にひめちーちゃんの言う通りですよ。