【戦争と犬③】樺太犬の雑種化。戦時下には弱いものから命を落とす。それはすべて人の手によるもの。 | ヒメとまいにち

【戦争と犬③】樺太犬の雑種化。戦時下には弱いものから命を落とす。それはすべて人の手によるもの。

 

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犬と猫と戦争と。ペットたちの受難をもう二度と起こさないために。

 

「戦争は悪だ」。

大前提であるにもかかわらず、

世界のどこかで起こり続けている戦争。

想像してごらん、とジョンレノンが語り掛けたのは1971年のこと。

想像してごらん 国なんて無いんだと
そんなに難しくないでしょう?
殺す理由も死ぬ理由も無く
そして宗教も無い
さあ想像してごらん みんなが
ただ平和に生きているって…

JohnLennon「Imagine」意訳

その後も戦争はなくならず、どこかで誰かが悲しい思いをしている。

時の権力者は想像力すらないのだろうか。

戦争で大切なものを、時には命を落とすのは人間だけではない。

戦争がどんなものかも知らないひよっこが何を言う。

と言うご意見もあろうかとは思いますが、

この日本ではもうすでに戦争体験世代は

2020年の統計で1132万人、人口中の割合は9.2%。

ご存命の方の中にも、伝えるすべを持たない方もいます。

知ってしまったら、真実を探り、そのことについて考え、

そうして後世に伝えなければならないのだと思います。

ひとの戦争体験は多く伝わるものの、

犬や猫の受難は伝わっていないものが多いのです。

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知って、知識として蓄え、

同じことが起こらないようにするのが、

わたしたち戦争を知らない世代の役割でもあると思うのです。

 

 

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タロ・ジロも純血種ではなかった?樺太犬の悲劇

 

樺太(ロシア・サハリン)と北海道を生息地とし、

南極観測隊のタロ・ジロで知られる樺太犬(からふといぬ)について、

純血種はもはや存在しない可能性が高いことがわかりました。

タロ・ジロ 樺太犬 純血種絶滅

朝日新聞デジタル

 

樺太犬は五~九世紀、サハリンの海洋狩猟民とともに北海道に渡来した。

当時の「オホーツク文化」の代表的遺跡であるモヨロ貝塚(網走市)などから、

樺太犬の原形とされる骨が出土しています。

大型で耐寒性に優れ、人にも従順なことから、

サハリンではギリヤーク(ニブフ)などの先住民や移住した日本人が

そり引き用に繁殖、飼育してきました。

日露戦争後、南サハリンが日本に割譲されると、

大量の樺太犬が北海道に渡来。

旧日本軍は第二次大戦時、犬ぞりの輸送力に注目して

樺太犬を千島列島に配備するなど活用しましたが、

一日最大四キロもの魚を食べるため、

人間の食料不足をもたらすと判断され大量に殺処分されたのです。

 

 

戦時中の市民への呼びかけ。

 

太平洋戦争下の昭和19年(1944)秋、

軍需毛皮の兎が不足したことから、軍需省・厚生省が

飼い犬の毛皮供出献納を都道府県知事あてに通牒し運動が全国に展開しました。

これを「犬の軍用供出」と言います。

ところが、北海道では本州に先駆け18年に犬毛皮の供出が始まり、

19年には海軍の要請により飼い猫が加わりました。

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運動の趣旨は、生産量が減少した軍用兎の代わりに、

畜犬(飼い犬)の供出買上や献納、また野犬の掃蕩によって集めた犬の毛皮を、

兵士の防寒着や航空服・航空帽の材料にしようというものでした。

政府は国民の積極的な戦争協力と国家への忠誠を求め、

国民精神総動員運動を展開しました。

「国民精神総動員運動・大政翼賛運動を推進公報した『北海道庁公報』」によると

昭和12年に掲載された標語は、

「貯蓄報国 貯蓄は身の為国の為」や

「国を護った傷兵まもれ 感謝で護れ勇士の遺族」、

「われらの水と砂と莚と闘魂とで 見事に一泡ふかしてやらう」などと言うものでしたが、

しだいに「軍需羊毛 全量供 出促進運動 羊毛で祖国を護る兵護れ」や

「軍用兎供出促進運動 航空戦に軍用兎を
航空戦に勝ち抜く為の軍用兎 誓って出さう さあ今だ!」に代わり、

「野畜犬供出促進運動 野畜犬進んで奉公 さあ!今だ!」

「犬の突撃攻撃隊で立派な忠犬にしてやろう」

「勝つために犬の特別攻撃隊を作つて 敵に体當りさせて立派な 忠犬にしてやりませう」

「ワン公もお国のために奉公を!」などと、

犬の供出を促すものへと変化していきました。

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この文言は、「犬の献納」を呼びかける回報に書かれているもの。

特攻隊として敵に体当たりしてこそ、真の忠犬になれる…

そんなまさかと思うが、そのまさか。

戦時中には多くの犬が国に奪い取られ、

軍人さながらに見送られて戦地に「出征」している。

狂犬病をなくすため、空襲で犬が暴れる危険を防ぐため、

そして軍需用の毛皮の確保のため、犬を国に供出しろ。

こうして多くの一般家庭では、

ペットとして飼っていた犬を手放さざるをえなくなったのです。

 

 

ペットの軍事利用。別の観点で考えてみる。

 

戦争と、それにまつわるペットのことを4回に分けて書きました。

 

 

 

戦時下の人々の暮らしは多く伝わっていますが、

犬や猫、ウサギ。ペットについてはあまり多く語られていません。

これは過去を封印したいからなのか、

それともやはり、人優先の世界だからなのか。

戦争では弱いものから命を落としていきます。

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人の命はペットの命より重い。

きっとそれは間違ってはいないのだろうけれど、

ただ批判するだけではなく、

過去にあった出来事を正しく理解しなければならない。

もしもペットを軍事利用しなければならないとしたら、

ペットの可愛さで、戦意を喪失させる、とかそういう方向にならないものだろうか。

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犬や猫の可愛さで敵兵をメロメロにできるかもしれないし。

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可愛いビームが効かない敵兵には

猫パンチお見舞いしてあげればいいし。

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今でも世界のどこかでは、犬に爆弾を括り付けて特攻させている。

軍事利用ではなくって、

犬や猫を連れて行ったら百人力よね、となると良いのに。

 

 

戦争の秘密兵器は…猫

 

事実、過去には、猫の可愛さを武器に戦った、と言う記録が残されています。

紀元前525年、エジプトはペルシア人によって征服されていない唯一の帝国でした。

難攻不落とされたエジプト征服をもくろんだペルシアのカンビセスは、

砂漠を横断してはるばるエジプトの前哨地ペレシウムにたどりつきます。

ペルシア軍はエジプトに対し、秘密兵器を持っていたのです。

その秘密兵器とは・・・

なんと「ネコ」!!!!

ポール=マリー・レノワ 『ペルシウムの戦いでのカンビュセス王』(1872年制作)

ポール=マリー・レノワ 『ペルシウムの戦いでのカンビュセス王』(1872年制作)

 

「カンビュセス王はエジプトの神聖な生き物である猫を盾にして戦った」

という伝説をもとにしているこの絵画、

猫を放り投げていますね。

投げられた猫の救助に手をかけてしまい、

結局戦いには敗れたのだとか。

また、ペルシア軍の兵士たちは「猫」を盾に縛り付けて戦い、

エジプトの兵士たちは「猫」が可哀想すぎて成すすべもなく、

あっという間にエジプトは陥落、ペルシア軍の勝利に終わった、とも言われています。

ペルシア軍の最強の盾 猫の盾

面白画像集より

 

罪のない猫を斬りつけるわけにはいかない。

猫を盾に他国へ攻め入るというのは問題がありますが、

こうして、血を流すことなく平和的に解決できればいいのにね。

 

 

今日のヒメちー

 

……。

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にょきっ。

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今日のねぇやんはいつもにも増してぶっ飛んでいますねー。

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けれど、犬や猫に、

戦意を喪失させる力があるのは事実。

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「軍事利用」と言うのがいささか気に入りませんが…。

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ひとはいつか、動物たちに大きなしっぺ返しを食らう羽目になる、

と言うことを想像したほうがいいです。

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戦争をしたいのは市民じゃない。

国と国のプライドとか、

自国の領土を大きくしてやろう、とか、

他国の資源が欲しい、とか、

いつも自分勝手な理由で起きる。

ひとはそんな愚かじゃない、と信じたいのだけれど…。

 

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コメント

  1. もしかしたらエジプト兵の士気が下がってしまったのはバステト神の影響もあるのかな?
    自分たちの神様を傷つける訳にはいかないと思ったのかもしれないですね。
    ペルシア軍はそれを狙った?のかも。
    言いたくない事ではありますが、戦争においては士気を下げる方法として有効策っちゃ有効策ですね…

  2. 考えようによっては、戦地に赴く兵士たちも、国にとっては一種の兵器なのかなって思ってしまいました。
    爆撃が奪う命は人間だけじゃなく、ペットや野生動物も然り。
    やっぱ百害一利なしですよね。

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