かわいいだけじゃない、肉球は何のためについているの?
猫の肉球は可愛い。
猫自体もかわいいけれど、肉球はまた格別。
人によってはそれをポップコーンの匂いとあらわしたり、
キャラメルのような匂いとあらわしたり。
猫は自身の肉球をペロペロと舐め、時には安心感や寂しさを紛らわすため、
また、母猫のお乳を飲む仕草を思い出し、吸い付く行動を見せます。
が、よだれ臭くないところも不思議。
ぷにぷに、ツヤツヤとした肉球は、猫の大きな魅力のひとつです。
猫の足の裏に存在する魅惑の肉球。
人の足の裏の構造とは明らかに異なる作りをしています。
なんとも可愛らしい見た目と、人を夢中にさせる感触や匂い、
なぜ猫の足の裏に肉球が存在しているのでしょうか?
猫の肉球は、クッションやセンサー、体温調節など、さまざまな役割を担っています。
肉球の役割
肉球の主な役割としては、地面からの衝撃を吸収する、
寒冷地にも適応できる、雪道でも滑らず歩ける
運動するときに身体をささえるクッションの役割を果たす、などがあります。
室内で犬や猫を飼育している人ならばわかると思いますが、
フローリングの上では手足に生えた毛は滑り放題。
肉球のおかげで滑らず走り回ることができるのですね。
肉球の構造
肉球の表皮は分厚い角質層で覆われています。
表皮の下は弾性繊維や脂肪が網目状になっており、
周囲には汗腺が発達しており、常に肉球を保湿しています。
また、猫は肉球でしか汗をかかないと言われています。
肉球の表面には血管が少なく、一度傷つくと治りにくいため、
乾燥やひび割れには気を付けなくてはなりません。
肉球の部位別の名称
肉球は主に三つの部位で構成されています。
・掌球(しょうきゅう):中央にある、てのひらのような大きな肉球
・指球(しきゅう):指の根元にある肉球
・手根球(しゅこんきゅう):人間でいうと手首のあたりにある1つ
犬の場合はこれに狼爪と言うものが付いています。
人間では親指にあたる部分です。
犬の祖先である狼が岩場を登り降りする際に使用していた爪の名残ですが、
狼爪は通常、足の高い位置に生えるため、立った時に狼爪は地面につかないため、
必要のない部位だとも言われています。
肉球は食肉目の証し。食肉目って?
肉球は食肉目の動物、ウサギとレッサーパンダを除いて
もれなくついているかわいい器官です。
ウサギとレッサーパンダの肉球は退化したと考えられています。
主に陸上で生活する食肉目(哺乳類の一種)の動物に特有の器官です。
犬は猫の祖先であるミアキスから進化、枝分かれしたイヌ科の動物です。
猫の分類は脊椎動物門食肉目になります。
犬は「ネコ目イヌ科イヌ属」、猫は「ネコ目ネコ科ネコ属」。
なんだかややこしいですが、
かつて森林に住む猫目のミアキスが
草原に暮らす種と森林に留まる種に分かれ、
草原に暮らす種は犬に進化し、
森林にとどまった種は猫へと進化したと言われています。
こうして枝分かれし、それぞれの特徴を持ち、要らないものは退化し、
必要な期間は大きく成長させ、進化を遂げ、
現在のそれぞれの種目になっているのですが、
肉球はみな、持ったままです。
肉球の持つ役割は大きいということがわかります。
猫とパンダは肉球の使い方が似ている。
肉球は、猫が生きる上で大切な役割を担っています。
猫の肉球は弾力性に優れており、衝撃を吸収する機能があります。
猫は驚くほど高いところに登り、飛び降りたりしますが
高い所から飛び降りたりする際には、
肉球がクッションとなって着地したときの衝撃を吸収し、
体にかかる負担を軽減してくれるのです。
さらに、肉球は足音を消すのにも役立ちます。
猫が狩りをする際に、獲物に気づかれないよう近くまで忍び寄ることができるのも、
肉球がクッションとなって足音を消してくれるおかげです。
肉球は、猫が発汗できる数少ない部位です。
暑いときや緊張したときに汗をかくことから、
猫の肉球は体温調節を助けているといわれています。
ただし、体の大きさに対して肉球の面積はわずかであるため、
体温調節にどこまで役立っているかは明らかにはなっていません。
そのため、猫は基本的に体温調節が苦手なのです。
また、猫やパンダなどは肉球を上手に使うことで、
何かを器用につかんだり、物にしがみついたりすることができます。
遊んでいるときにおもちゃを前足でキャッチしたり、
フェンスや柱をスルスルと登ったりできるのも、
やわらかくて湿り気を帯びた肉球があるおかげなのですね。
ちなみに猿は霊長類のため、肉球は持ちません。
猿の手はひとの手によく似ていて、
人と同じように器用に物をつかむことができます。
猿も木から飛び降りたりするのに…痛くはないのかしらね。
猫にもし、肉球が無かったら…。
高いところに登って、降りられない、と言って下僕をこき使うのでしょうか…。
もちろんです。
それは人に取ってこの上ない喜びでもあるはず。
…確かに…そうかも…。
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